Motorolaは米国時間5月24日、「802.11n」標準が正式に策定されるまで次世代エンタープライズWi-Fi機器の製造を見送ると述べた。
同社のシニア製品マーケティングマネージャーであるAngelo Lamme氏は、ロンドンで開催されたWireless EventにおいてZDNet UKに対し、Motorolaは、規格の正式版に準拠しないかもしれない機器を顧客に購入してもらいたくはないと述べた。802.11n規格は、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)が2009年の標準化を目指している。
Lamme氏は、「われわれは正式な規格が決定されるまで待つ予定だ」と述べた。同氏は、Motorolaが携帯型バーコードスキャナなどを手がけるSymbol Technologiesを買収したのに伴い、Motorolaに入社した。「企業はそれほど早い段階で(802.11nを)採用しないだろうから、今出荷することには意味がない。またわれわれは顧客に、正式版には準拠しない標準化前の規格対応の機器を提供したくはない」(Lamme氏)
Wi-Fiの新世代版では、帯域幅と到達距離が改善される予定であり、すでにIntelなど多くのベンダーが802.11n規格準拠と謳った製品の出荷を開始している。しかし同規格はまだドラフト段階で、業界内の争いによりこれまでにも何度か遅延が生じており、最終的にIEEEに策定される前に変更される可能性は高い。
業界団体であるWi-Fi Allianceは、2007年6月から802.11n機器の認定を開始する予定だが、同団体さえも現在販売されている機器が規格の正式版に準拠するという保証はないことを認めている。
Lamme氏は、Wi-Fi Allianceが802.11n標準が完成する前に、認定の開始を決定したのは、消費者市場を安心させるためであると述べた。同氏はこの動きは「市場に大きな混乱を与える」とし、企業に対して、現在入手可能な802.11n対応の製品を採用することは、数年のうちに不要となるかもしれない技術に縛られるというリスクを伴うと警告した。同氏は、Motorolaは正式版で認可されたチップセットのみを用いて機器を製造すると約束した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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