MacのユーザーがWindowsのユーザーに比べて、自分のマシンでゲームをすることに興味が薄いわけではないが、AppleはiLifeや「iTunes」といった自社製品に高い優先順位をつけているとの認識が、ゲーム開発者の間にはある。「どこかの時点で、Apple自身のソフトウェアにのみ力を注ぐ姿勢になった」と、Adams氏は語る。
このところMac用ゲーム開発者の間では、いわゆる「カジュアルゲーム」のカテゴリに力を入れる動きがある。これは、ワードゲーム、パズル、ボードゲームといったごく一般的なゲームや、かつてのゲームセンターによくあったゲームなどを採り入れたソフトだ。Freeverseでプロデューサーを務めるBruce Morrison氏によると、自分が主人公になって戦う(1人称視点の)複雑なアクションゲームや、戦略を練りながら大冒険を繰り広げる戦略ゲームよりも、一般に手を出しやすいという。カジュアルゲームで遊ぶには、ずば抜けた腕前もいらないし、本格的なゲーマーが欲しがるような高価なゲーム機も必要ない。あまりにも複雑になったゲームに怖じ気づいた人たちの間で、ハードルの低いこうしたゲームが今、人気を獲得しつつある。
またカジュアルゲームでは、コアなゲームの分野でAppleがMicrosoftに後れをとっている技術的な問題を一部回避できると、Morrison氏は分析する。同氏の所属するFreeverseは主にMac OS X用のゲームを制作しており、代表作に「Heroes of Might and Magic」がある。「Mac OS Xには、まだまだゲームに対応していく可能性がある」と、Morrison氏は述べた。
Morrison氏によると、Appleは3Dグラフィックスの仕様「OpenGL」をMac OS Xに加えて大きく前進したが、Windowsにおける「DirectX」テクノロジに対抗しうる技術はまだ開発できていないという。DirectXは、開発者がゲームやマルチメディアの処理に使用するアプリケーションプログラミングインターフェース(API)だ。
Jon Peddie ResearchのアナリストJake Richter氏によると、OpenGLはDirectXに比べて「古い技術」だという。しかも、DirectXはMicrosoftのソフトウェアでしか使えないので、Appleは開発に多大な労力を注いで自前の技術でDirectXに追いつくか、別のオープンスタンダードの開発を奨励するかしなければならない、と同氏は説明する。
今春リリース予定の次世代版Mac OS X「Leopard」(開発コード名)で、Appleは何らかの強化を行うのではないかとの憶測もある。Appleの最高経営責任者(CEO)Steve Jobs氏は、2006年8月に開催された「Worldwide Developers Conference(WWDC)」で、グラフィックス関連のテクノロジをいくつか披露した。その1つが「Core Animation」で、開発者が強力なグラフィックスをより簡単に作成できるようになっている。さらに、2007年6月に開催予定のWWDCに、Jobs氏が何かサプライズを用意している可能性もある。
Mac用ゲームの開発者に希望を与えた画期的な方針変更の1つが、Intel製プロセッサへの切り替えだった。しかし残念なことに、開発者は今なお、ゲームをMac OS X用に移植するのに膨大な作業を強いられている。それは、大半のゲームがユニバーサルアプリケーションとして開発されるため、「PowerPC」プロセッサを搭載した旧型Macでも動作するようにしなければならないからだ。しかし、将来はIntelベースのMac OS X用アプリケーションだけを視野に入れて、開発を比較的容易に進められるようになると期待されている。Morrison氏によると、AppleがIntel製プロセッサに切り替えたことで、市場では一定のレベルの性能を備えたマシンが確実に増えるはずだという。
またAppleは、Intel製プロセッサへの切り替えによって、「Boot Camp」の正式リリースをより確かなものにすることができる。Boot Campは、IntelベースのMacでWindowsを稼働させられるソフトウェアで、次期OSのLeopardに正式に組み込まれる予定だ。Boot Campを利用すれば、最新のきわめて刺激的なビデオゲームを心待ちにするユーザーが、既存のMacをそのまま使いながら、リリースされたその日にWindows版のゲームを楽しめるようになる。Parallelsなどの会社がリリースしている仮想化技術によって、こうしたことがさらに容易になる可能性もある。
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