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アップルのゲーム戦略--不透明さの向こう側

文:Tom Krazit(CNET News.com) 翻訳校正:大熊あつ子、福岡洋一2007年03月01日 19時30分
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 AppleのテレビCMを見た人なら誰でも、「PC」(パソコン君)が垢抜けないサラリーマン風の人物だということを知っている。しかし、そんな「パソコン君」が、実はビデオゲームの中で多大な時間を費やして、外国のテロリストを追いかけていたりする。

 AppleのCMでは、「Mac」の「クールな要素」が強調されているため、ゲーム愛好者なら一般的な消費者に比べて、PCではなくMacを選択する率が高いと思う人もいるだろう(米国におけるAppleの市場シェアは全体で4.7%だ)。しかし、アナリストの意見は違う。本格的なゲーム愛好者には--かなりの差をつけて--「Windows」ベースのパソコンが好まれており、そうした人が友人に影響を与えて、パソコン購入の際の選択を左右するケースが多いという。

 1年あまり前、AppleはIntel製プロセッサを搭載したMacをリリースした。その後Appleユーザーの間では、Windows系パソコンと同じプロセッサを採用したことで、人気の高いゲームがMacでも、もっと早くプレーできるようになるのではないかと期待する声が聞かれた。現在、Appleの製品ラインはすべてIntelベースのものに移行しているが、今なおMacユーザーは、人気のゲームをプレーできるまでかなり待たされる状況が続いている。そうしたゲームを楽しみたいというだけの理由で、Windowsパソコンの購入を決めた人さえいる。

 業界アナリストおよびゲーム開発者によると、WindowsとMacの志向の違いには、歴史的、技術的、ビジネス戦略的な経緯が、それぞれ同じ程度に影響しているという。Microsoftはゲーム開発者との連携に、Appleよりもはるかに多くの時間を費やしてきた。そしてMicrosoftの場合、ゲーム開発者が求めるユーザー層がAppleに比べて厚い。PCはMacより柔軟性が高く、ゲーマーが自分で手を加えてグラフィックス性能を向上させるといったこともできる。いっぽうのAppleはと言えば、今のところ、「iLife」スイートなどのライフスタイルソフトウェアに注力することで満足しているようだ。

 ゲーム市場の宣伝は、もっぱらMicrosoftの「Xbox 360」やソニーの「PLAYSTATION 3」(PS3)、任天堂の「Wii」などのゲーム機に向けられ、宣伝費もますます増大しているが、市場調査会社NPD Groupの調べによると、2006年のPC用ゲームの売り上げは9億7000万ドルあったという。つまり、PC用のゲームソフト市場も軽視できないということだ。

 しかし、Appleも「iPod」や「Apple TV」などの製品で、ゲーム業界にふたたび攻勢をかけようとしている、との見方もある。たしかに、現在は多くのゲームがMacでもプレーできる。Appleは、同社製品で現在利用できるゲームのリストを自社のウェブサイトに掲載している。なかには、「Age of Empires III」(エイジオブエンパイアIII)や「Civilization IV」」(シヴィライゼーション4)といった人気タイトルもある。プロセッサがIntel製に変わったことで、Macと他のPCとの性能比較がこれまでになく容易になった。

 Appleの広報担当Lynn Fox氏は、声明で次のように述べている。「Macは、これまでより速く強力になった。グラフィックスも素晴らしく、プレーできる人気ゲームの数はどんどん増えて、『World of Warcraft』『PREY』『The Sims 2』(ザ・シムズ2)なども楽しめる」

 しかし、World of Warcraftを除いて、これらのゲームはMacで利用可能になるずっと以前からWindows PCでは利用できた。ゲーム出版社のAspyr Mediaで開発ディレクターを務めるGlenda Adams氏は、ビデオゲームの新しいタイトルが出ても、Appleのユーザーはそれが「Mac OS X」用に移植されるまで何カ月も待たされることが少なくない、と指摘する。主要なゲーム制作会社はWindows向けに開発を行い、Mac環境への移植はAspyrなどの他の会社にまかせる傾向がある。Adams氏の説明によると、この工程に数カ月を要するという。

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