今年もハイテク業界恒例の一大イベントの時期がやってきた。ロックコンサートと政治集会とハイテク見本市をひとまとめにしたようなお祭り騒ぎ。ちなみにこれは、ラスべガスで開催中のあのイベントの話ではない。
「Macworld Conference & Expo」の公式な開幕は米国時間1月8日だが、誰もが最も注目しているのは、9日にサンフランシスコのMoscone Centerで基調講演を行う、Apple Computerの最高経営責任者(CEO)Steve Jobs氏だ。業界アナリストやブロガー、Appleファンサイトなどによれば、Jobs氏は今回、リビングルーム向けコンセプト製品「iTV」(開発コード名)の詳細、今後リリース予定の「Mac OS X 10.5」(開発コード名「Leopard」)に搭載予定の新機能、そしてAppleの設計による電話機を発表するものと期待されている。
2007年のMacworldは、例年とは少々趣が異なる。その理由の1つとして、世界最大級の家電見本市「Consumer Electronics Show(CES)」と見事に日程が重なったことが挙げられる。CES開催地のラスベガスには現在、タクシーの行列ができている。しかし、これまでのMacworldと特に大きく異なるのは、これからの新型Macをめぐる噂や憶測がまるで聞かれないこと(もちろん、サプライズ好きのJobs氏のことだから、希望を捨ててはいけない)と、ストックオプション問題に関するスキャンダルがAppleの上に重くのしかかっていることだろう。
2006年1月のMacworldは、Appleの歴史のなかでも重要なイベントとなった。Jobs氏とIntelのCEO、Paul Otellini氏が、Intel製プロセッサを搭載した最初のMac、「MacBook Pro」と「iMac」を発表したからだ。Appleは以来、Macの製品ライン全般にわたって、次々とIntel製プロセッサを採用し、消費者向けノートPC「MacBook」がけん引する製品の出荷増大および市場シェア拡大に浮き立っている。
だが今回のMacworldで、大方の予想と期待がほぼ集中しているのは、Appleの電話機の登場だ。これは以前、Appleの製品ネーミングの慣例にならって「iPhone」と呼ばれていたが、実はCisco Systemsがこの商標の権利を持っていて、VoIP機器「iPhone」製品群が2006年12月に同社から発表されている。ともあれ、Appleが電話機を開発しているという噂は、数年前とは言わないまでも、数カ月前から広がっていた。それは、音声通話、音楽再生、スケジュール管理、ウェブ閲覧などの機能を備えたスマートフォンになると考えられている。
Appleがひそかに用意している計画はどんなものか、その具体的な部分についてはさまざまな見方が出ている。特に予想が割れているのは、同社がどの通信事業者を念頭に置いているかについてだ。AppleがCingular Wirelessを通信事業者に選んだとの指摘がある一方で、複数の通信事業者のサービスで利用できる電話機を販売する道を選んだとする意見もある。
Appleが電話機を出すという話は、金融アナリストのコミュニティーやMacファンの間ですでに広く流布しており、あとは時期の問題だけだとする意見がおおかたを占めている。さらに、AppleはMacworldで電話機を発表するかもしれないが、市場に出せるようになるのは2007年のもっとあとになるだろうという報道もある。
しかし、AppleがMacworldで製品を発表したら、出席者は基調講演が終わるやいなや飛び出して購入できるというのが、これまでの通例になっている。2007年も9日の昼食時までには、サンフランシスコでApple製品を扱っている店にはiTV製品が並ぶにちがいないとにらんでいる人は多い。
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