HPは「この対抗訴訟には何のメリットもない」と述べる。「これは、元の訴訟を遅らせるための見え透いた作戦である・・・われわれは、従来の主張を曲げるつもりはないし、今回の訴訟からも自分たちの身を防衛する」(HP)
損害賠償を請求する今回の対抗訴訟が提起されるほんの数カ月前には、HPの歴史にとって汚点となるような問題が浮上していた。それは、HPが、幹部しか知り得ない情報の漏洩源を調査するために、ジャーナリストや従業員、幹部の私的な通話記録をプリテキスティングという手法を用いて取得したというもの。前会長のPatricia Dunn氏は4つの重罪で告発され、無罪を主張している。
HPに対するKamb氏の訴訟は、この情報漏えいスキャンダルと直接的な関係はないように思われる。しかし、Kamb氏は、2006年秋にHPのプリティスティングを調査する中で浮上した証拠を提示しており、この証拠からは、HPが2005年8月よりプリテキスティングを行っていたことが示唆されている。
Kamb氏の訴状によると、同氏は2002年4月にCompaq ComputerがHPに買収されるまで、Compaqのバイスプレジデントを務めていたが、2005年秋に解雇されたという。同氏は、在職期間中の多くの時間を日本で過ごし、新技術の調査や、「コンピュータ業界の専門家たち」との関係構築を担当したという。Kamb氏は現在、薄型テレビ企業Byd:signの最高経営責任者(CEO)だが、会社設立時に不正行為があったとして訴えられている。
HPは、Kamb氏やByd:sign、そのほかのHPの元従業員に対して起こした訴訟で、Kamb氏がHPに一定額の賃金アップを求め、HPがこれに応じなければ退職すると脅したと主張している。
またHPはKamb氏と同氏の仲間が、Byd:signの株式を一定割合以上保有していたにも関わらず、HPに申告していなかったとしている。
HPが提出した文書には「HPの上級管理職として雇用されている状態であったにも関わらず、被告らは仲間たちとともに、競合ビジネスを立ち上げた。ビジネスの立ち上げには、HPのリソースや人脈、企業秘密が利用された」と書かれている。
さらにHPはKamb氏がHPの研究開発費用をByd:signの利益になるように使用したと主張する。
Kamb氏は文書(PDFファイル)で資金の流用を強く否定している。
HPはKamb氏やByd:sign以外に、Dellの日本法人で社長を務めていた飯塚克美氏を訴えている。
Kamb氏は裁判所の文書の中で、コンピュータ業界の専門家との人脈を構築するという任務を達成するため、2001年に飯塚氏に会ったことを認めている。しかしKamb氏は、この関係はあくまでも、HPでのビジネスに恩恵をもたらすものだったと説明している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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