Hewlett-Packard(HP)が外部の通話記録を不正に入手したスキャンダルに関して、同社で調査を担当したVince Nye氏は2006年2月の時点で、このような行為は法に触れる可能性があると社内に向けて警告していた。さらにそれから1カ月後、同氏は再度警告の電子メールを送り、このような行為は違法ととられても仕方ないと強く訴えていたことがわかった。
Nye氏は、米国時間3月17日付けの電子メールで、同僚のTed Crawford氏にあてて次のように書いている。「ある業務について、やむを得ず問題点に目をつぶって実行したのであれば、その業務あるいは行為が正しいものかどうか、一歩引いた視点から考えてみるのが理にかなっているはずだ。この件に関して言えば、わたしの意見では、携帯電話の通話記録を入手することはさらに悪質な行為だ」。Crawford氏はメールの中で「セキュリティ責任者」とされていた。
この電子メールは、米下院エネルギーおよび商業委員会に提出され、CNET News.comも確認した数多くの証拠文書の中から見つかった。
Crawford氏は、「ノーコメント、以上だ」として、この問題について言及を避けた。HP自体も、問題のメールに関するコメントを拒否している。
Nye氏はCrawford氏へのメールで、自分はHPに入社する以前、20年以上にわたって警察当局に身を置いてきたが、自分が捜査にあたる際にはこのような手段は使用しないと述べている。「わたし自身は、このような手段は用いない」と記したNye氏は、HPに対しても今後このようなケースにおいて、問題の手段を用いることを「再考」するよう求めている。
Nye氏は、Crawford氏あてに上記のメールを送る1カ月前の2月7日に、「なりすまし」手法を使った通話記録の入手が、自分には「少なくとも甚だしく倫理にもとる行為であり、おそらくは違法」に思える、と警告する文面の電子メールを複数のHP社員に送付している。
Nye氏は、調査を担当したTony Gentilucci氏、および同社の倫理部門を統括する上級顧問のKevin Hunsaker氏に宛てた2月のメールの中で、次のように記している。「たとえその行為が違法でないとしても、われわれの評判を損なうか、さらにひどい結果を招きかねない立場にHPを追い込むことになる」。Hunsaker氏は当時、情報漏えい問題の調査を指揮していた。
Nye氏が3月に送った警告メールには、Sacramento Bee紙の記事からの引用もある。Nye氏は同紙の記事について、他人のふりをして通話記録を入手する手法--「プリテキスティング」として知られる--について触れているとして注意を促した。
HPは、今ではスキャンダルの元凶とされている情報漏えい問題調査の過程で、少なくとも20数名に対してプリテキスティングの手法を用いたことを認めている。現職および元取締役7人、記者9人、従業員2人が対象となったことが確認されており、その他にも何人か(人数は不明)の社外の人間に対して同手法が用いられたという。下院委員会は9月28日、この問題について公聴会を開いた。また、カリフォルニア州司法長官、米連邦捜査局(FBI)、および米連邦検察局が本件に関して捜査を開始している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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