Hewlett-Packard(HP)の元会長Patricia Dunn氏は、機密情報の漏えい源を調査する過程において「プリテキスティング」という手法が用いられたとは知らなかったと主張する。だが記者らの電話番号を外部の調査会社に提供していたのは、ほかでもないDunn氏であったことが判明した。外部の調査会社はこの情報を元に、記者たち本人の同意を得ずに通話記録を入手していた。
Dunn氏はBusinessWeekの記者2人の自宅、会社、携帯電話の番号を、調査会社Security Outsourcing SolutionsのRonald DeLia氏に渡していたことが、先週公開された文書から明らかになった。
Dunn氏がDeLia氏に送信した2005年5月16日付けの電子メールには「電話番号は以下の通りです」と記載され、これに続いてBen Elgin記者およびPeter Burrows記者の電話番号が書かれていた(もっともCNET News.comが入手した資料上では、記者たちの電話番号は編集されていた)
2005年に発生した機密情報の漏えいをHPが調査した際に、Dunn氏をはじめとする幹部に調査会社が提出した内部報告書には、記者たちの通話内容についても概要が記されていた。現在進んでいる捜査の事情に詳しい情報筋によると、Dunn氏に電話番号を教えたのはHPの渉外担当バイスプレジデントRobert Sherbin氏だという。記者たちとHP幹部の接触の有無を調べるためには調査会社に電話番号を教える必要があるとDunn氏は考えたという。
Sherbin氏は米国時間10月2日、News.comの取材に対し「電話番号をDunn氏に提供した記憶はない。仮にわたしが電話番号を教えたのだとしても、それは(当時の)HP会長に依頼されたからである。BusinessWeekは当時、Dunn氏自身も関与していたある取り組みについて、取材を進めていたが、まさかDunn氏が電話番号を不正に利用するとは思っていなかった」とNews.comに語った。
調査会社がHPに提供した2005年6月15日付けの報告書には「2005年3月9日、Ben Elgin氏が(BusinessWeek誌記者の)Roger Crockett氏の携帯電話に電話。Crockett氏がElgin氏の携帯電話に(同日)2回電話」といった情報も書かれていた。
Dunn氏が、他人になりすまして個人の通話記録を不正に入手する手法である「プリテキスティング」という言葉を認識していた証拠は、これらの文書には含まれていない。また同氏がこの手法の違法性を認識していたことを示す証拠も見当たらない。だが、この資料からはDunn氏が、DeLia氏による調査活動に深く関与していたことがわかる。
Dunn氏は最近まで、通話記録の入手にプリテキスティングという手法が利用されていたことや、通話記録が違法に入手されていたことは全く知らなかったと主張していた。
Dunn氏は先週、議会の公聴会で、「通話記録は誰にでも入手可能な公開情報であり、電話で依頼すれば手に入れられるものだと思っていた」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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