しかし、発表されたApple TVは、一部の人々が期待していたような、ケーブルTVや衛星放送の番組を録画できる完全装備のメディアセンターPCに匹敵するものではなかった。むしろ、コンピュータに保存されたコンテンツをTVに接続するという点で、PCの世界の「Media Center Extender」に近い。
予定価格299ドルというApple TVが、あらゆる機能に対応するということはない。だがこのデバイスにより、Appleにとって鍵となる、TVとの接続が実現される。この架け橋は、同社が映画コンテンツ販売を手掛け始めた今、非常に重要な意味を持つ。さらに2007年1月9日のカンファレンスでは、これまでのDisney系列の映画に加えて、Paramount Picturesの映画コンテンツをiTunes Storeで販売開始したことが発表された。
iPodとTVの接続という問題に別の方法でアプローチしている製品もある。Digital Lifestyle Outfitters(DLO)の「HomeDock Deluxe」だ。この製品では、iTunesのコンテンツがすぐにiPodに移されることを見越して、リモコン対応の独自インターフェースでiPodとTVをシンプルに接続している。2006年リリースの初期バージョンでは音楽ファイルだけだったが、最新バージョンでは映像にも対応している。価格は149ドル。iTunesのTV番組を大きい画面で見たい、というだけの人々にとっては、より安価な選択肢だ。
MacにTV録画機能を追加する場合には、「Mac mini」と同じ箱形をした、Migliaの「TVMax」がある。同梱されているEl Gatoの「EyeTV」ソフトウェアを使用して、デジタル映像を録画できる。
CESにおけるMicrosoftの発表の目玉となったWindows Home Server。強調されたのは、「コンテンツを家庭に配信できる」ことではなく、「コンシューマーがWindows Home Serverで何ができるか」という点だった。
MicrosoftのEntertainment and Devices DivisionプレジデントのRobbie Bach氏はインタビューで、「私たちの実感として確かなのは、今や各家庭には、PCが4〜5台、Xboxが1台、音楽プレーヤーZuneが1台あるという現状だ」と語った。「今後私たちに必要とされるのは、ファイルのバックアップや保護をはじめとする、家庭のネットワークを安全かつスムーズに保つためのあらゆる作業を支援するものだ」(同氏)
Hewlett-Packardは、Windows Home Serverを搭載した「MediaSmart Server」を2007年後半に発売する予定だ。そのほかのPCメーカーについても、Windows Home Serverの採用が進むことが予想されている。なお、Windows Home Serverは、MicrosoftのWindows Server 2003 OSを基盤に構築されている。
現時点では、Apple TVにもWindows Home Serverにもニッチ製品となる可能性はある。Gates氏は、CNET News.comのインタビューで、ホームサーバの概念がいつ浸透するかを予測するのは容易ではないと語った。「極めて簡単に使える製品が1000ドルを優に下回る価格で手に入るわけだから、複数台のPCを所有する家庭の相当数がこの製品に魅力を感じるはずだ」(同氏)
Diffusion GroupのアナリストであるMichael Greeson氏は1月12日、メディアはApple TVを過剰に褒め立てているが、その機能の多くは既にほかの製品が提供していると書面で指摘した。
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