「彼らはどこの世界の話をしているのだろう。デジタルメディアアダプタは言うに及ばず、インターネット対応のデジタルビデオレコーダー(DVR)やセットトップボックスも、登場したのは数年前だ。このことが完全に忘れ去られているとしか思えない。iTunesは別としても、内蔵ハードドライブにコンテンツを書き込む機能をはじめ、Apple TVとほぼ同じ機能を今のゲーム機が持っていることを分かっているのだろうか」(Greeson氏)
この分野に参入しているのがMicrosoftとAppleだけであるはずがない。DirecTV、Dish Network、その他のCATV企業は、コンテンツプロバイダーとして独自の強力なセットトップボックスとサービスをコンシューマーに提供しているし、通信系企業各社もインターネットベースTVの分野に参入してきている(ただし、同分野でMicrosoftは10年以上にわたる取り組みを続けており、その事業展開の中で既に多数の顧客を獲得している)。
各企業の動向を見てみると、特に目立つのがTiVoだ。同社はここ数年、人気製品であるDVRシステムにさまざまな機能を追加してきた。コンテンツをPCやデバイスに移動する機能も実現している。そして1月8日には、「TiVoToGo」モバイルサービスオプションのMac対応を発表した。
一方、Microsoftの共同設立者Paul Allen氏が会長を務めるDigeoは、この市場への参入をずっと狙ってきた企業だ。同社は「Moxi」というセットトップボックス製品ラインをCATV企業に販売してきたが、小売店経由での契約者数は40万人にとどまり、業績は頭打ちだった。2007年のCESで、Digeoは同社デバイスのコンシューマー向け直販の開始を発表し、さらに、2007年後半の発売を計画している2種類の高品位(HD)パーソナル・ビデオ・レコーダーを披露した。
このコンシューマー指向の主な背景には、CATV業界の長期にわたる変更計画がある。これは、コンシューマーがDVRをレンタルではなく購入できるようにするというものだ。コンシューマーはセットトップボックスを小売店で購入して自ら所有し、「CableCARD」という小さなカードを使って地域のCATVプロバイダーに接続する。
MicrosoftはこのCableCARDのサポート計画を推進してきた。2005年11月には、CATV業界の非営利団体CableLabsと合意に達し、CableCARDを組み込んだメディアセンターPCを2006年のホリデーシーズンに投入する道が開けた、と発表している。これは結局実現されなかったものの、2007年のCESでは、その製品は2007年後半にリリースされる見通しだと伝えられた。
DigeoのCEOであるMike Fidler氏は、今コンピュータメーカーが直面している大きな課題は、技術的なものではなく、各社がその位置を奪おうと企図している家電製品と同じくらい使いやすい製品を開発することにある、と指摘する。
ソニーのホームプロダクト部門を9年間率いてきた経歴を持つ同氏は、顧客は、PCよりもTVに対してより大きな期待を抱いていると語る。
「TVには『死のブルースクリーン』といったものもない。オンかオフ、常にそれだけだ」(Fidler氏)
Digeoをはじめとする各企業が現在抱えている難題は、デジタルコンテンツの直接配信や、離れた場所に保存されている音楽や写真のストリーミングといったさまざまなオプションを実現しながらも、使いやすさと信頼性は確保しなければならないという点だ。機能は欲しい、でも使いにくいのは嫌だ、というのが大方のユーザーの意見だとFidler氏は語る。
「楽しいことを探してリビングルームに来るのだ。そこでイライラしたい人はいないだろう」(Fidler氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス