ヤフーは電子部品やデバイスの展示会CEATECで、PCやモバイルだけでなく、テレビやゲーム機、カーナビなどあらゆるデバイスでヤフーのサービスを利用できるようにするという「Yahoo! Everywhere構想」を打ち立てた。
その構想の1つとして、ヤフーが独自開発したソフトウェア「Yahoo! Digital Home Engine(YDHE)」を基調講演で発表し、デモンストレーションを行った。
家庭内ネットワークを使ってAV機器やパソコン、情報家電を相互に接続する技術仕様である「Digital Living Network Alliance(DLNA)」に対応した機器にこのソフトウェアを組み込み、DLNAに対応したテレビに接続すれば、リモコン操作でテレビからYahoo! JAPANのサービスを利用できるようになる。
ヤフー事業推進本部 デジタルホーム事業室 室長の板東浩之氏はYahoo! Everywhere構想について「前々から検討されていたもの」と語る。ネットレイティングスの調べによると、Yahoo! JAPANは現在、PCでのインターネット視聴率87%以上だが、「これを100%にしていくよう努力する」という。
その一方で、テレビやゲーム機を介してヤフーのサービスを提供して、PCを使えないユーザーも取り込んでいきたい考えだ。PCやモバイルに続き「第3、第4のデバイスでヤフーのサービスをつなげられるようしたい」と語る。
DLNAの規格では、コンテンツをJPEGの画像やMPEG2の動画、リニアPCMの音声で提供するため、ヤフーのコンテンツはJPEG画像で提供されている。画像はヤフーのサーバ上で生成しているが、オークションなどのサービスは参加者が増えれば増えるほど生成するコンテンツが増え、負荷の問題もでてくる。事業推進本部 デジタルホーム事業室 企画リーダーの川瀬達也氏は「まだテストの段階なので明確には回答できないが、ヤフーは負荷に対するノウハウも持っている」と語る。Yahoo! JAPANは現在、1日12億のページビューを支えている。
また、PCやモバイル以外のデバイスでサービスを提供する際、デバイスに合わせたユーザーインターフェースを提供することも重要になる。検索事業部 企画部 部長の宮崎光世氏は、YDHEの開発チームが作成した動画検索の社内デモを見たときのことを「同じ動画検索でも、検索結果の見せ方、インターフェース次第で大きく印象が変わった」と説明する。今後は「テレビで見せる」ということを前提として検索技術やインターフェースを強化していくという。
DLNAを使ってリビングへの進出を試みるヤフーだが、DLNAはそのアプローチの1つで、ほかにもテレビとインターネットを直接つなぐ、ゲーム機などを経由してインターネットにつなぐといった技術も検討する。「『Yahoo! Everywhere構想』と話している。テレビと直接サービスをつなげられるのであれば、そのほうが簡単だ」(川瀬氏)
気になるYDHEの提供は2007年になる予定。提供方法や対応機器などは未定。今後の課題については、川瀬氏が「技術的なものと権利的なものもある。技術面では米国と連携をとれるが、権利面ではビジネスモデルを各業界に説明していかなければならない」と語った。
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