「グーグルチューブはメディア企業から訴えられるのか」--著作権侵害をめぐる訴訟の可能性をさぐる - (page 2)

坂和敏(編集部)2006年10月20日 06時35分
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 米国時間17日には、Universal Music Group(U2、Mary J Blige、Mariah Carey、Black Eyed Peasなどが所属)が、2つの動画共有サイト--GrouperとBolt.comを提訴したことが伝えられた(TechCrunch日本版「Universal Music、GrouperとBolt.comを提訴」)。賠償請求額は「著作権侵害1件につき最高15万ドル」ということで、上記の3社(News Corp.、NBC Universal、Viacom)が想定したのと同じ金額である。ただし、この時点では「なぜこの2社が狙われたか?」という点が不明だった。たしかに、GoogleとYouTubeが合併を発表する直前に、Vivendi傘下のUniversal Music GroupはYouTubeと提携したことを明らかにしていた(「ユーチューブ、メディア企業3社とコンテンツ契約を締結」)。「自分が提携したばかりの相手を訴えるものなどいない」といってしまえばそれまでだが、コンテンツをローカルマシンのハードディスクに残せる(Google VideoとGrouper)か残せない(YouTubeとBolt.com)かという大きな違いはあるにせよ、どちらもよく似たことをしていることに変わりはない・・・(この点についての答え、あるいは少なくともそのヒントには後に触れることにする)。

 さらに、New York Timesは米国時間18日に、Google-YouTubeの合併発表直前にYouTubeとの提携を明らかにしていた3社-Universal Music Group、Sony BMG Music Entertainment、Warner Music Groupが、実はこのディールの一環としてYouTubeの株式を取得していたことを明らかにした(「Music companies grab share of YouTube sale」)。この記事には、3社がこの取引で最大で5000万ドル程度の金銭を受け取ることになりそうだとの関係者の話が載っている。Universal MusicのCEOが先月、YouTubeとMySpaceを指して「著作権侵害者」と呼び、彼らには「数千万ドルの貸しがある」("...the sites "owe us tens of millions of dollars.")といっていたことを考えると実に「大きな様変わり」といえるが、結果的にほぼ相当する額を手にしたことを思えば、先月の発言が単なる交渉上の「駆け引き」だったと思えなくもない。まさに、「権利者も、訴訟を起こして悪者扱いされるのはいやなので、水面下で交渉するかもしれない」という池田氏の指摘通りと言えるかもしれない・・・。

 さて、ここで今後の展開に目を向けてみよう。これについては、MarketWatchのBambi Franciscoが連載コラム「NetSense」のなかで、興味深い指摘をしている。まず、米国時間17日付けの「GoogTube and Yah-book」のなかには、「GoogleがYouTubeを手中にしたいま、最も大きな関心事は、同社がメディア企業と話をつけるために100億ドルの現金に手をつけなくてはならなくなるかどうかだ("Now that Google has snapped up YouTube, the question is whether it will have to dip into its $10 billion in cash to settle with media companies.")」との指摘があり、それに続けて前述のNews Corp.、Viacom、NBCが手を組んでGoogle-YouTubeへの対応を検討し始めたという話が記されている。

 Franciscoが両陣営の弁護士と話をしたところでは、大手メディア企業がGoogle-YouTubeから多額の賠償金を引き出せる可能性は低そうだという("it appears that big media doesn't have much of a chance to extract billions out of GoogTube.")。その理由として同氏が挙げているのは:

(1)これらのメディア企業がすでに何らかの形でGoogleを利用しているから(たとえば、NBC UniversalはすでにYouTubeでテレビ番組「Office」のプロモーションを行っている)。

(2)YouTubeはメディア企業側のリクエストに応じて、違法にアップロードされた著作権付きコンテンツを削除している。(なお、この点に関しては、YouTubeにとって法的な「頼みの綱」である「Digital Millennium Copyright Act(DMCA)」の規定(米国著作権法512条(c))が絡んでくるので、別の機会にできるだけ詳しく検討できればと思う)。

 Franciscoはさらに、Electronic Frontier Foundation(EFF)の弁護士、Fred von Lohmannとのやりとりに触れ、「たとえGoogle-YouTubeが実際に著作権を侵害しているとしても、訴えるようなメディア会社は現れないだろう。なぜなら、こうした動画サイトに上がっているビデオの大半は非常に時間の短いものばかりで、たとえ法廷闘争に持ち込んだとしても、1分のビデオに15万ドルの賠償請求というのは認められそうにないからだ」というLohmannのコメントを紹介している。

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