「Googleによる買収が決まったYouTubeが、著作権侵害で訴えられるかどうか?」。いま、この話題はインターネット/メディア関連のビジネスにかかわる人間にとって、もっとも関心の高い事柄のひとつだろう。米国時間19日にGoogleの四半期決算発表が予定されているが、そのカンファレンスコールのなかでこの点についての質問が出され、Googleから明確な考えを聞ける可能性も考えられなくはない。また、この点をめぐって、Google-YouTubeをはじめとする動画共有サイトとコンテンツホルダーとの動きが、先週末あたりからあわただしくなっている。そこで今日はこの問題の現状を整理してみたい(なお、とくに法律面などを中心に、現時点で消化し切れていない点も多々あるため、勘違いを見つけられた際にはどうかご指摘をいただきたい)。
GoogleによるYouTubeの買収が発表された時点で、「Googleは法的な問題にケリをつけなくてはならない」という声は、各所で上がってきていた。たとえば、News.comに掲載されたForrester Researchの解説記事(「Commentary: Google-YouTube and the value of social computing」)には、以下の記述がある。
By itself, YouTube was vulnerable to lawsuits over hosting copyrighted content like bits of TV shows and music videos. Now those same content owners' lawyers will take aim at Google's cash. 「YouTubeは、テレビ番組やミュージックビデオのような著作権で保護されたコンテンツを(自社のサイトに)ホストしていることをめぐって、訴訟を起こされる危険があった。そして今度は、同じコンテンツ所有企業各社の弁護士が、Googleのもつ(膨大な)キャッシュに狙いを定めている」
そして、米国時間14日にはこの考えを裏付けるような動きがさっそく見られた。The Wall Street Journal(WSJ)の報道によれば、News Corp.、NBC Universal、Viacomの大手3社が手を組み、YouTubeとの交渉に望む準備を始めたという。(この話のキモは「メディア・パブ」ブログの記事(「大手メディアが大同団結,YouTubeに損害賠償請求へ」)で読める。また、WSJの記事についてもっと読みたい方は、参照元の「Media Titans Pressure YouTube Over Copyrights」か、もしくはITmediaが掲載した翻訳記事「[WSJ] 罰金は数十億ドル? メディア企業が対YouTubeで団結」をご覧いただきたい)。
この報道に触れた池田信夫氏のブログ(「Google/YouTubeの深いポケット」)に:
賠償請求額は、違法なビデオクリップ1本について15万ドルだというから、7000万本以上あるクリップの0.1%(7万本)が請求の対象になるとしても、総額は100億ドルにのぼる。
とあるように、潜在的な賠償額は膨大な額にのぼる。また、池田氏のブログを受けて書かれた磯崎哲也氏の「isologue」の記事(「GoogleのYouTube買収と有限責任性」)には、Googleがこうした法的なリスクも考え合わせたのか、「YouTubeの合併にあたって、GoogleがSnowmass Holdingsという新しいペーパーカンパニーを設立し、それを一種の緩衝材として使う」意向であるとも書かれている(この記事には財務面などを中心に非常に詳しい解説が出ているので、関心のある方には是非参照いただきたい)
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