日本オラクル、証券システム増強と新税制が後押し

 日本オラクルの株価は、2006年1月12日に昨年(2005年)来高値の6300円をつけて以来、ライブドアショックなどの影響もあって下落傾向を強め、先週末の2月17日には一時、5300円を割り込む場面も見られた。しかし、同社の業績は順調な回復軌道に乗りはじめており、市場関係者の間には「そろそろ株価反転上昇の兆しが見えてきそうだ」との見方も出ている。

 同社は、米国Oracleの日本法人。あらゆる情報を管理、運営するためのデータベースソフトウェアを、企業向けに開発・販売するソフト会社の大手だ。同社の製品は、企業の顧客や製品情報などで利用され、多業種かつグローバルに普及している。

 同社の業績は、2002年5月期以降に3期連続の減収となったものの、2005年5月期から回復に向かっている。2006年5月期の11月中間期の決算は、売上高が前年同期比9%増の414億円、経常利益は同15%増の136億円、純利益は同15%増の80億円となった。会社側は主力製品の新規ライセンス売上成長率を4〜5%増程度とみている。

 しかし、米Oracleが有名ソフト企業を買収し、顧客管理ソフトなどの企業向けアプリケーションソフト(応用ソフト)の品揃えを強化したことから、日本オラクルも同様に強化すると見込まれる。また、アプリケーションソフトとデータベースソフトをつなぐミドルソフトでも、既存顧客で営業を強化するものと予想される。

 同社の置かれた事業環境は大きく改善してくるものと見られている。同社では、証券会社向けの注文・約定の処理システムを扱っている。最近のネット利用の個人投資家の急増で、東証や大証が大幅なシステム増強を迫られている中で、各証券会社も注文・約定システム増強の需要が増大するものと見込まれ、同社のビジネスチャンスも大きく広がりそうだ。

 また、IT投資促進税制は2005年度で廃止されるものの、これに継続するかたちで2006年度からは情報基盤強化税制がスタートする。これは、情報セキュリティの強化と国際競争力のため、情報基盤を強化するような情報システム投資を減税対象とする優遇税制だ。適用期間は2年間で、基本ソフトやファイアーウォールのほか、データベースソフトおよび、アプリケーションソフトも対象となる。

 2006年5月期の連結業績について同社では、売上高900億円(前期比8%増)、経常利益310億円(同8%増)、純利益182億円(同7%増)と見込んでいる。同社の株価は、5300円前後まで下落しているが、当面の下値めどは5000円程度とみられている。そのうえ、直近の東証の信用取り組みは、2月10日申し込み現在で売り残100万4200株、買い残95万1400株と、売りが大きく買いを上回っており、信用倍率は0.94倍となっている。

 今後は売り方の買戻しも想定され、株価は5300〜5000円レンジでしばらく底練り状態を続けたあと、反転上昇に転じ、中期的には6000円台に乗せてくる期待もありそうだ。

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