OracleによるSiebel Systemsの大型買収が完了したことを受け、ウォール街のアナリストらは、旧Siebelの社員が解雇されるのではないかとささやき始めている。
もっとも、痛手を負うのは大手CRMベンダーであるSiebelだけではないかもしれない。アナリストは、Oracleで顧客関係管理(Customer Relationship Management:CRM)ソフト事業に関わっていた社員も解雇の可能性があると述べている。
Oracleは米国時間2月9日、アナリストと電話会議を行い、両社の合併後の路線や事業展望について話す予定だ。
SiebelとOracleの合併は58億5000万ドル規模におよぶ巨大なもので、最近すべての作業が終了した。UBSのアナリストHeather Belliniは、合併完了に伴い、Siebelが抱える4686名の従業員の6割が解雇される可能性があると、研究報告書の中で予測を立てている。この予測は、今後12カ月以内のOracleの1株当たり利益が、Siebelとの合併で2〜3セント上昇するという仮定に基づいているという。
WR HambrechtのRobert StimsonやSanford BersteinのCharles Di Bonaといったほかのアナリストも、解雇を予想している。
「買収について発表した際に、Oracleは数百万ドルのコストを削減したいと述べていた。コスト削減には両社がともに取り組むだろうと考えていたが、実際にはOracleにより負担がかかることになるだろう」(Di Bona)
Oracleは以前、Siebelの技術を自社のコアCRM製品として用いる考えを示していた。そのため、OracleのCRM販売/マーケティングチームは今、コスト削減策の実現に向け、大きな不安を感じているだろうと、Di Bonaは指摘した。
また同氏によれば、Siebelで財務や人事といった部門の管理職に就いている社員が、大幅に解雇される可能性があるという。
一方Stimsonは自身の報告書の中で、OracleはSiebelの管理およびバックオフィス部門において、「人員削減をただちに実施する」との見方を示している。
Stimsonの研究報告書には、「Oracleが当初掲げていた増収目標を達成するためには、Siebelの運用コストを約3億5000万〜4億ドル削減しなければならないと予測している」と記されていた。
Siebelは会計年度の最初の9カ月間で、一般経費および管理費として7600万ドルを、販売およびマーケティング経費として2億7090万ドルを計上している。また、同社が米証券取引委員会に提出した四半期報告書によると、2005年9月30日までの9カ月間における同社の製品開発部門の運用コストは、2億1190万ドルに上っていたという。
Stimsonは、Siebelの社員が解雇されるだけではなく、Oracleが2005年に取得したエンタープライズアプリケーションベンダー旧PeopleSoftおよび旧J.D. Edwardsの従業員の中にもリストラされる者が出るだろうと考えている。
Stimsonの報告書には、「Oracleは『Fusion』に関する長期的な計画に着手し始めており、その一環として間もなく旧PeopleSoftと旧J.D. Edwardsの社員の数をさらに減らすという話を聞いている」と記載されている。
FusionはOracleの次世代エンタープライズアプリケーションスイートで、同社が以前に取得したテクノロジーを新たに開発した技術と統合させ、パッケージ化したものになる。
Oracleはこの件に関するコメントの提供を拒否した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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