サンフランシスコ発--米国時間18日に当地で開催されたイベントにおいて、壇上に上がったOracleの幹部らは、近年の企業買収の後に続く計画に対して、参加者の支持を求めた。同社による一連の企業買収は、株式市場から芳しい反応を得られていない。
San Francisco City Hallで行われたこのイベントで、オラクルの首脳陣はビジネスアプリケーションの大幅な改良をめざす同社の取り組みを重点的に説明した。同社はここ1年あまりの間に十数社の企業を買収してきており、これらの企業が開発していた製品のなかから最良の部分を集めて、それをビジネスアプリケーションに組み込もうとしている。「Project Fusion」と呼ばれるこの取り組みは1年ほど前、Oracleが100億ドルを注ぎ込んだPeopleSoftの買収を完了した時に始められたものである。
OracleはPeopleSoftの買収以降も、小売用ソフトウェアの専業メーカーであるRetekやProfit Logicをはじめ、規模のより小さな企業もいくつも買収してきている。これらの買収は全世界で500億ドルの規模をもつビジネスアプリケーション市場でSAPから首位を奪うための大胆な取り組みの一部だ。Oracleはまたセールスオートメーション市場で競合していたSiebel Systemsを58億ドルで買収することにも合意した。この契約は数週間のうちにまとまるとみられている。
この買収戦略は、あわせて190億ドルを投じたギャンブルで、非常に大きな注目を集めた。しかし投資家らはいまだに不安を抱いている。Oracleの株価は2005年の1年を通じて12〜14ドル近辺に留まったままで、約5年前に付けていた30ドルには程遠いレベルにある。先月発表された決算情報も、この状況を改善する役には立たなかった。同社の利益は同四半期に予想を下回るものとなったが、その理由として同社はPeopleSoft買収関連費用やデータベースビジネスの成長鈍化を挙げていた。
一方、同社にとって一番のライバルであるSAPでは業績が好調に推移している。同社は先週、2005年の全社の売上が推定で13%増加し、また利幅の大きいソフトウェア関連の売上は18%増となったことを発表していた。このニュースを受けて、同社の株価は過去1年間の最高値に近いレベルまで上昇した。
Oracle社長のCharles Phillipsはこの日の講演のなかで、Project Fusionの開発作業が半分程度まで進んでおり、今後はこの取り組みを「プロジェクト」と呼ぶことはないだろうと述べた。また同社の幹部らは、Fusion関連の最初のアプリケーション類を以前に約束していた通り2008年に発売できるだろうと語った。
「OracleはFusionの完成まであと半分というところまで来ている。今後1年間で残りの50%を済ますことになるが、この50%がたいへんな部分だ。(われわれは)そのことをとても誇らしく思う」(Phillips)
Oracleの最高経営責任者(CEO)Larry Ellisonは、この晩講演を行うことになっていたが、実際には会場に姿を見せなかった。同氏はインフルエンザで寝込んでしまい、最後の段になって講演をキャンセルしたとのことだった。
そのほか、Oracleは2005年にいくつかの作業を完了したと同社の幹部らは説明した。そのなかには、Fusionのアーキテクチャの定義、Fusionミドルウェア上で動く多数の製品の認証、新しい製品の要件定義、サポートの強化、アップグレード用ツール類の開発などが含まれる。また同社はこれらのトピックに関するホワイトペーパーや青写真も公開した。
Oracleは2006年に、3つの主要アプリケーション--「Oracle E-business Suite 12」「PeopleSoft 9」「JD Edwards 8.12」について、それぞれ新バージョンのリリースを計画している。これらの製品には、アプリケーション統合ツールやビジネスレポート作成プログラム、ワークフロー作成ツールなど、Fusionのコンポーネントが組み込まれることになっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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