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薄型ディスプレイ狂騒曲の行き先

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 「デジタル三種の神器」という幻想の中、価格の高さと存在感の大きさという点で薄型TVは他の2つより抜きん出たイメージを持ち、日本ではまさにデジタル家電の王様的な地位にあるといっていい。しかし、デジタル家電景気の陰りが明らかになった昨年後半から、デジタル家電の王様=薄型TVを巡る家電メーカー各社の戦略は企業ごとに大きく異なるものとなっている。

合従連衡という「異常」の通常化

 2月8日、ライブドアがフジテレビの大株主であるニッポン放送の株式を取得し、35%を保有する大株主となったことが明らかになった。この実質的な買収劇は、以前から堀江ライブドア社長が漏らしていた「次の標的はメディア」というアイデアを現実のものにしただけだ。これまでも、ターゲットを定めると確実に「騒ぎ」にしてきた同社の業績を考えれば、ある意味で驚くに値しないといっていい。

 とはいえ、実質的買収の対象が株価そのものや企業価値以上に存在感のある印象が強いメディア企業である点、以前から指摘されていた通り不自然な支配構造にあるニッポン放送とフジテレビの間隙を縫うという一種のトリックプレーとも受け取れるという点、そして、昨年社会的に大きく注目されたプロ野球騒動のきっかけにもなった「新興IT企業」のライブドアが再びメインキャストであるという点でも話題性が大きい。

# 果たしてライブドアをIT企業と呼ぶべきか? 違和感を持つ人も多いに違いない。

 いずれにしても、「株式市場を通じた企業買収」という手段はこれまで、行き詰まった企業が当事者同士の交渉によって市場からの退場・撤退を実現するものというのが中心的だった。しかし今後は、「ライブドア⊆ニッポン放送(フジテレビ)」という図式を描いた今回の例のように、一部のステイクホルダーの意思とは無関係に株式によって買収合併が広く行われるようになるだろう。これまでにない手順で今まで考えにくかった価値の創造をより容易に実現する手法という、戦略的な意味合いが強調されてくるに違いない。そして、何らかの目標を達成するための手段として、常態化されていくはずだ。

 ここ数年にわたって金融関連の種々の法律や商法の改正がなされてきたのも、このような形での企業の活動範囲の拡大を狙ったものだった。そういう意味では、ライブドアの手法は決して奇をてらったものではないといえるだろう。

 だが、最近メディアに大きく取り上げられた売却、合併、買収といった合従連衡の話題となると、やり取りされる資産規模という面でも、液晶やプラズマといった薄型ディスプレイを巡る家電メーカー間の動きを忘れることはできない。

押し付け合いなのか、規模の経済か、それとも

 薄型で大画面の映像を表示できるプラズマや液晶を用いたディスプレイの開発とその生産を巡って、ここ数年、家電メーカー間で激しい競争がなされてきた。政府の支援もあり、より大型な製品のための製造技術の進歩は著しく、最終製品で「1インチ1万円以下」という90年代であれば夢のような価格も実現した。そして、薄型・大型TVは、依然として高嶺の花ではあるものの、庶民の手が届かない製品ではなくなった。

 そこでは、多数の企業の参入によって製造技術の優位性は希釈化されている。また、デジタル技術を基盤とした製品作りを国家レベルで支援する台湾や韓国の企業の勢力が拡大し、大量生産が可能な中小サイズのものについては価格的に日本製品を圧倒するほどになった。そして、最終製品価格は急激に下落し、大型化による付加価値を回収する間もなく、次世代製品への移行を余儀なくされるようになってきている。

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