NECは2月3日、同社が保有するNECプラズマディスプレイ(NPD)の全株式、およびプラズマディスプレイに関する知的財産権をパイオニアに譲渡することで基本合意したと発表した。3月末をめどに正式契約を交わし、2004年度上半期中に譲渡を完了する予定。
パイオニア代表取締役社長の伊藤周男氏によると、今回の話はパイオニアから持ちかけたものという。パイオニアはプラズマディスプレイを中核事業の1つとして位置付けており、生産設備の増強を図っている。しかしプラズマディスプレイの需要が世界中で急速に拡大していること、韓国・台湾メーカーを中心に競争が激しさを増していることから、さらなる技術力、生産力の向上が必要と判断し、今回の買収に踏み切った。
NEC 代表取締役社長、金杉明信氏(左)とパイオニア 代表取締役社長、伊藤周男氏(右) | |
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一方、NECは現在事業再編を進めており、コンピュータと通信を融合分野である「IT・ネットワーク統合ソリューション」と「半導体ソリューション」をコア領域と定めて経営資源を集中させている。一方で、ノンコア領域については他社との提携などを積極的に進める方針を掲げていた。プラズマディスプレイ事業は多額の設備投資が必要であることから、パイオニアへの事業譲渡を決定したとしている。「価格競争が激しくなるなか、セットメーカーとの垂直統合によって規模を追求していくのがよいと考えた」(NEC 代表取締役社長の金杉明信氏)
パイオニアは現在甲府に建設中の第4工場を含めると約60万台の年間生産能力を持つが、今回の合併により、2005年度末で年間110万台の生産能力を持つことになる。また、パネル生産枚数の世界シェアでも2005年度末に22%となり、トップに立つとパイオニアでは予測している。なお、国内の民生用プラズマテレビ市場におけるパイオニアのシェアは2002年度で22.9%となっており、日立製作所に次いで第2位となっている(東洋経済新報社調べ)。
パイオニア専務取締役ホームエンターテインメントカンパニープレジデントの新島昭氏は今回の買収について、両社の製造技術には類似点が多く、製品のターゲットとする市場が異なることから、合併による相乗効果が得られると説明する。パイオニアが民生用を中心としているのに対し、NPDはOEMによる販売や官公庁向けの業務用製品を手がけているためだ。「非効率な重複はほとんどない」(新島氏)。さらに生産規模が拡大することで材料費の低減が図れることや、インチ別に専用生産ラインを敷いて効率の高い生産体制が築けるなどの利点を挙げた。
両社は同日以降、株式譲渡等の条件、日程などに関して具体的な協議に入る。具体的な買収金額などは明らかにされていない。NECプラズマディスプレイは資本金100億円で、従業員数は約1100名。プラズマディスプレイのセットおよびモジュールを生産している。2004年3月期の売上高は500億円を見込んでいる。
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