日立製作所と松下電器産業は2月7日、プラズマディスプレイ事業に関して協業することで合意したと発表した。設計開発や部材調達の合理化を進め、価格攻勢をかける韓国勢や大型化を進める液晶陣営に対抗する。
協業分野はプラズマディスプレイパネル(PDP)の開発、生産、マーケティング、知的財産権の4つ。具体的には部材や生産設備の標準化、PDPの周知活動を共同で行うほか、日立が設立を検討中の特許管理会社に松下が出資を検討している。
日立は富士通と折半出資して設立したPDPメーカー、富士通日立プラズマディスプレイ(FHP)の株式約30.1%と、PDPにかかわる知的財産権を富士通から譲り受けることで合意し、日立の連結子会社にする予定だと2月2日に発表している(関連記事)。新たに設立を検討している管理会社は、富士通から取得した知的財産権を中心に特許の管理を行う予定で、日立と松下はクロスライセンスを行うことも視野に入れているという。
握手を交わす日立製作所の庄山悦彦氏(左)と松下電器産業の中村邦夫氏(右)
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日立製作所執行役社長の庄山悦彦氏は「現在市場では、大型、高画質で低価格な商品が求められている。これに応えるためにはいかに合理化を進めるかが鍵になる」と協業に至った動機を説明する。また、松下電器産業代表取締役社長の中村邦夫氏は「高い技術力を持つ日立と協業することで、さらなるPDP事業の発展が期待できる」とした。
世界市場における松下子会社の松下プラズマディスプレイの台数シェアはSamsung SDI、LG Electronicsに次ぐ3位、日立が出資する富士通日立プラズマディスプレイは4位(米DisplaySearchの調査)で、韓国勢に押されているのが現状だ。
さらに両社は、大型液晶テレビの攻勢にもさらされている。液晶テレビ市場でトップのシャープは2004年8月に45V型液晶テレビを市場投入しており、来年10月には40型クラスの液晶テレビを年間120〜130万台生産できる亀山第2工場を稼働する予定。日立、松下の両社は今回の協業で、さらなる競争にも耐える体制を整えたい考えだ。
プラズマテレビ市場はデジタル放送の普及に伴って、世界的に拡大している。電子情報技術産業協会(JEITA)の調査によれば、同市場は2004年から2009年にかけて年率平均38.0%で成長し、2009年には1160万台規模になるという。 一方の液晶テレビ(10型以上)も、年率平均49.2%で成長し、2009年には5900万台規模になると予測されており、競争環境はますます激しくなりそうだ。
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