Samsungが有機ELディスプレイのプロトタイプを公開したが、これにより次世代技術を採用した大型ディスプレイの市場投入が予想より早まる可能性がある。
同社のチップ製造部門は米国時間4日、有機発光ダイオード(OLED)技術をベースにした21インチのテレビ用ディスプレイを発表した。有機ELは、多くの薄型テレビやコンピュータモニタで採用されている液晶ディスプレイの後継技術と見られている。
有機ELディスプレイでは、電流が流れると発光する素材が使われている。このディスプレイはバックライトなしで動作するため、消費電力の低減や画面の薄型化が可能となり、また製造コストも削減できる。さらに、有機ELディスプレイは液晶ディスプレイに比べて解像度が高い。
ほかの電機メーカー各社も大画面有機ELディスプレイの開発とデモをすでに行っており、対角約2インチの小型画面は既に電気カミソリ、携帯電話、デジタルカメラで採用されている。
しかし、調査会社iSuppliのアナリストPaul Semezaによると、Samsungが発表した21インチのプロトタイプはアモルファスシリコン技術を利用している点で注目に値するという。アモルファスシリコンは今日市場に出回っている大半の液晶ディスプレイで採用されている成熟した技術だ。
「アモルファスを扱う工場は多数存在しているため、これで大量生産の開始が早まる可能性がある。つまり、液晶ディスプレイ生産用の既存の設備を有機ELディスプレイに転用できるということだ」(Semeza)
ただし、消費者が有機ELディスプレイを使った大画面テレビを手にするまでにはあと数年かかりそうだ。Semezaによると、各メーカーは製造プロセスを改善しなくてはならず、また有機ELディスプレイを中心とした業界形成の必要もあるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス