調査会社のGartnerによると、ストレージ市場で鍵を握るデータストレージ機器の売上高が、2003年には5.7%増加し、今年はさらに7.9%増加する勢いで伸びているという。
Gartnerは米国時間4日、2003年の全世界における外付けストレージディスクの売上高が、前年の122億ドルから、129億ドルに増加したと発表した。Gartnerの数字は、ディスクドライブがダウンした際のデータの損失を防ぐいわゆるRAID(Redundant Arrays of Independent Disks)を対象としたもの。
この調査では、RAIDのほかにも、独自のコントローラー機器により動作するサーバと別立てのストレージ製品も対象としている。このタイプのストレージ機器は、EMCやHewlett-Packard(HP)、IBMなどから発売されており、大企業がメインフレームやサーバ群向けのデータ保存に利用することが多い。
5日には、同じく調査会社のIDCが2003年第4四半期の売上高に関する報告のなかで、楽観的な予想を発表した。それによると、第4四半期の世界の外付けストレージシステム売上高は、前年同期比8.4%増の37億ドルとなり、景気後退が始まって以来最大の伸びを記録したという。
IDCの数字には、RAID機器ならびに他のストレージ機器の売上高が含まれている。
ストレージ機器ベンダーにとって良い知らせとなったのは、調査会社各社の売上予測の改善だけではない。Gartnerのアナリスト、Roger Coxによると、2003年にはストレージ機器のメガバイトあたりの価格低下が30〜35%にとどまり、前年の40〜50%減と比べて改善したという。「価格の低下率が穏やかなものとなった」とCoxは述べている。
Coxによると、全般的に多くの国で景気が改善していることや、米国を初めとした各国政府の新たな規制がストレージ機器の需要を喚起しているという。多くのストレージベンダーは、企業改革法のSarbanes-Oxley Actや医療分野での「HIPPA(Health Insurance Portability and Accountability Act)」などの新しい法律に対して、企業が準拠するのを助ける取り組みを開始している。
投資銀行のCredit Suisse First Bostonが先日行った調査によると、調査対象となったCIO(最高情報責任者)の77%が、法規制の要求を受け、2004年にIT投資を増加させるつもりであることを示唆したという。投資増加分野として最も多く挙げられていたのが、データのバックアップと復旧だ。
トップ5ベンダーは
Gartnerによると、2003年のコントローラーベースの外付けディスクストレージ市場のトップ5は、前年と変わらず、順位に変化は見られなかったという。第1位はEMCで市場シェア20.6%で、第2位以下はHP(18.6%)、IBM(13.1%)、日立(8.3%)、Sun Microsystems(6.8%)と続いている。トップ2社のEMCとHPがシェアを増やした一方、IBM、日立、Sunの3社はシェアを落とした。
Dellは市場シェア4.9%を獲得し第6位となった。同社の売上高は年間44%増と大きく増加し6億3400万ドルを記録。Dellは、ストレージ機器の製造と販売でEMCと提携している。GartnerのCoxは、Dellは今年さらに成長すると予想している。「Dellには大きな潜在力がある」(Cox)
Network Applianceは第7位に付け、市場シェアは4.5%となった。同社の売上高は14%増の5億8600万ドルとなっている。
IDCの調査結果によると、第4四半期には、HPがわずかにEMCを上回り首位となっている。市場シェアは、HPがほぼ22%で、EMCは僅差の20%。3位はIBMで、4位が日立、DellはSunを抜いて5位の座に着いている。
GartnerとIDCの両調査結果とも、EMCの数字にDellのOEM販売から計上した売上高は含まれていない。同様に、SunとHPの数字に日立のOEM製品の売上高は含まれていない。両社による日立製品の売上には、SunとHPとの契約からの売上高は反映されていない。
日立の市場シェアは10.6%から8.3%に減少したが、Coxによるとこの減少は必ずしも同社が相対的に弱体していることを示すわけではないという。「日立の減少は、どちらかというと市場が安定していない日本の影響を反映したものだ」(Cox)
日立は、日本では日立ブランドで、それ以外の国ではHitachi Data Systemsブランドでストレージ機器を提供している。
Gartnerの数字では、IBMの市場シェアは2002年の13.6%から減少している。Coxは、ミッドレンジのFastTストレージ端末の売れ行きは好調だが、ハイエンドの「Shark」製品群は、EMCのライバル製品Symmetrix DMX製品群と比較して技術的に劣ると述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?