米IBMは、ストレージ分野のライバルである米EMCの顧客の取り込みを狙った、新たな作戦に乗り出す。
3日(米国時間)に発表予定のこの顧客取り込み作戦には、IBMが現在特許出願中のあるハードウェア機器の発売も含まれる。このハードウェアは、コンピュータシステムを休止させることなく、現在使用中のEMC製データストレージからIBM製品へのデータ移行を可能にするものだという。また同社は、コスト分析ツールセットも発売予定で、さらに顧客のIBM製品への乗り換えを支援するため、100人以上のアドバイザーを投入する。
IBMのストレージシステム担当ゼネラルマネジャー、Dan Colbyは声明の中で、「この乗り換えプログラムの目的は、顧客にIBM製ストレージ製品を使用してもらうことで、その実力と費用便益を実感してもらうことにある」と述べた。
これに対し、EMCの広報担当Greg Edenによると、同社では(IBMの動きについて)ほとんど心配していないという。Edenは、両社の直近の四半期決算に触れ、ストレージハードウェア製品の売上では、IBMが前年同期比6%増だったのに対し、EMCは同21%増だったと指摘。「EMCが勢いでIBMを上回っているのは明らかだ」(Eden)。
IBMとEMCは、共に数テラバイトのデータ保存が可能なディスクドライブを利用したハイエンドストレージ製品を製造している。両社は、ミッドレンジのディスクストレージ市場でも競合しているが、IBMは今回の顧客取り込み作戦で、まずハイエンド市場に力を入れる。現在この市場では、IBMのEnterprise Storage Server(開発コード名:Shark)シリーズと、EMCのSymmetrixシリーズがシェアを争っている。
市場調査会社IDCのアナリスト、John McArthurは、IBMとEMCは長年シェアを争っており、今回のIBMの動きもその一環だと指摘する。「(IBMの動きは)長期戦の中の新たな一撃にすぎない・・・いずれEMCも反撃に出るだろう」(McArthur)。
McArthurは、ストレージ機器の買い替えを検討している企業にとって、データ移行は大きな問題だとした上で、(IBM以外にも)多くの企業がデータ移行技術を提供しており、EMCもその1社だと指摘した。「問題解決の方法は1つではない」(McArthur)。
IDCは、ディスクストレージシステム市場全体が、向こう数年間緩やかに成長すると見ており、市場規模は今年の212億ドルから2007年には238億ドルに拡大すると予測している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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