「デルモデル」と呼ばれる直販・受注生産型のビジネスモデルで成功を収め、成長を続けるDell。同社は今後、どのような方向に進むのだろうか。Dellの会長兼CEO マイケル・デル氏は3月26日、都内にて来日記者会見を行い、同社のビジネスの堅調さをアピールするとともに、今後の方向性について語った。
デル氏がまず強調したのは、デルモデルが世界各国で支持されていること。同社の出荷台数の伸び率は、2002年第4四半期から2003年第4四半期までの間に米国で22%、ヨーロッパで33%、アジア太平洋地域で40%、日本で25%と、すべての地域で確実な成長を遂げている。米国における市場シェアが1位なのはもちろん、ヨーロッパでは2位、日本でもシェア11%を獲得して3位となったのだという。
Dell会長兼CEO マイケル・デル氏 |
さらにデル氏は、エンタープライズ市場での同社の順調な成長ぶりについて語った。Dellの2003年度の収益は18%の成長率だったというが、なかでもエンタープライズ分野に限るとその収益成長率は30%以上だったという。「サーバの成長率が40%で、ストレージは47%も成長した。日本におけるx86サーバ市場では、シェア18%を獲得して2位となった」とデル氏は述べ、今後もさらにエンタープライズビジネスを強化すると述べた。
エンタープライズ市場では「業界全体で標準化が進みつつある」とデル氏。メインフレームなど各メーカーの独自技術で構築されていた企業システムがUnixサーバへと移行し、現在ではさらに標準化が進んだIAサーバへの移行が進んでいる。この流れを加速すべく、同社は同日、デル・プロフェッショナル・サービスでUnixから標準技術への移行サービスを開始すると発表している。ちなみに、デル・プロフェッショナル・サービスとは、同社の提供するITコンサルティングとソリューションを組み合わせたトータルなサービス。デル氏によると、世界9000人規模で展開する同サービス事業は昨年36%の成長率を示し、今後の成長も大きく期待できる分野だという。
またDellは、昨年液晶テレビを発売するなど、家電ビジネスにも参入しているが、今後も周辺機器などPC以外の製品を積極的に展開していく考えのようだ。ただ、国内では大手家電メーカーがすでに多くの液晶テレビを市場投入しており、激戦が予想される。この点についてデル氏は、「Dellの提供するテレビは、あくまでもPCモニター兼テレビとなるもので、PCの役割を広げるためのものだ。テレビ単体の市場に向けた製品ではなく、マルチ機能を備えた製品である点を理解してもらいたい。わが社の立場としては、あくまでも家庭の中心はテレビではなくPCなのだ」と述べ、家電メーカーとの違いを強調した。
2006年度に総額8000億ドル規模と見込まれるITビジネスにおいて、デル氏は2006年度(同社の会計年度でFY07にあたる:2006年2月−2007年1月)に同社を600億ドル企業に育て上げたい考えだ。同社の2003年度の売上410億ドルのうち、PCの売上が約3分の2を占めているが、同社が狙うのはPC事業の売上を落とすことなく、サーバやストレージ、サービス、ソフトウェア、周辺機器などの売上を伸ばすこと。各事業における目標年成長率は、サービスとストレージがそれぞれ35%、サーバが20%、ソフトウェアおよび周辺機器が30%で、「デルモデルをすべての分野で適用させる」と語った。
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