拝啓マイケル・デル様、顧客サービスを見直してください

親愛なるMichael Dell様

 2003年の感謝祭の直前、あなたはコールセンター業務の海外アウトソースを見直す意向を発表しましたね。私はこの決断をうれしく思います。私自身、かつては大げさなまでにほめそやされていたDellの顧客サービスが、最近では見る影もなくなっていると実感しているからです。

 もちろん、近年の急成長もサービスの質が落ちた一因でしょう。しかし、顧客サービスという重大な任務を担っている海外のコールセンターにも相当の責任があるはずです。

 顧客サービスを重視している私にとって、Dellサービスの崩壊は他人事ではありません。私は何年も前からDellのコンピュータを友人や家族に薦め、コンピュータ雑誌やウェブサイトで推奨してきました。それは何よりもあなた自身が、迅速で質の高い顧客サービスの提供に熱心だったからです。しかし残念ながら、過日の情熱はすっかり失われてしまったようです。

 Michael、あなたをうんざりさせるつもりはありませんが、私が体験した事の顛末をお話したいと思います。それはDellの顧客サービスに電話をかけたことからはじまります(顧客サービスに電話をかけるのはこれが初めてだったように思います)。Dimension 8200のメモリ増設を思い立った私は、Dellのオンラインストアで必要なパーツを注文しました。ところが、これは私が悪いのですが、間違ったメモリを注文してしまい、正しいメモリと交換するには顧客サービス部門の助けが必要でした。

 簡単なことだと思うでしょう。実際、私も何でもないことだと思っていました。ところが、今回はたった1つのメモリを交換するために電話で約7時間もの時間を費やし、普段の私からは考えられないような辛抱を強いられたのです。

 最初に明らかになったのは登録システムの問題でした。Dellのデータベースには私のコンピュータに関する情報がまったく記録されていませんでした。データベースが修正されない限り、メモリの交換を取り合ってくれる人もいません。

 登録ミスが明らかになるまでにも、何度も電話をかけなければなりませんでした。音声メニューが分かりづらく、一貫性に欠けていたからです。これが第2の問題です。顧客サービスの電話番号を回すたびに、違う音声メニューが流れました。少なくとも4種類の音声メニューを耳にしたでしょうか。あなたも試してみてはいかがですか。驚くこと請け合いですよ。

 第3の問題は「サービスタグ」と「サービスコード」です。Dellのコンピュータには必ずこの2つが割り当てられています。私の場合はどちらも登録されていませんでした。もっとも、人によって言うことが違うので、どちらが重要だったのかは未だにはっきりしません。いずれにしても、私のコンピュータをデータベースに登録する方法を理解している人はどの部署にも、そしてどのコールセンターにもいないようでした。これが第4の問題です。

 第5の問題は、たどたどしい英語を話す担当者が多かったことです。私の電話はたいてい、インドにあるコールセンターのどれかにつながりました。現地で英語教育を受けているとはいえ、母国語と同じというわけにはいきません。もっとも、私はミズーリ、フロリダ、メキシコ、そしてDellの本拠地であるテキサスの担当者とも話をしましたが、そのうちの何人かはやはり、アメリカ英語ではない英語を話していました。

 データベースの問題がようやく解決すると、次はメモリです(通話記録によると、ここまでで5時間が経過していました)。ところが、今度は初歩的な対人トラブルが発生しました。サービス担当者の礼儀のなさです。インドのコールセンターの男性は返品処理に必要な情報にアクセスできないことに腹を立て、電話をガチャンと切りました。次の男性担当者(これもインドのコールセンターです)は信じられないほど無礼だったので、私から電話を切りました。最終的に返品処理をしてくれたのは感じのいい若い女性でしたが、彼女も確認メールを送ってほしいという私の頼みをかなえてはくれませんでした。

 2日間、合計7時間に及ぶ通話を経て、私はようやく間違って注文したメモリを返品し、正しいメモリを注文することができました。最初からKensingtonでメモリを買うべきだったのかもしれません。あるいはeBayで探すべきだったのかも。そうすれば、自分のコンピュータがDellのデータベースに登録されているかどうかを気に病む必要も、Dellの顧客サービスの堕落に気づくこともなかったのですから。

 Michael、顧客サービスの海外アウトソースを見直すというあなたの判断が、業界標準のサービス品質を取り戻す一歩となることを心から祈っています。コンピュータを買いたいという人たちへのアドバイスを変えることは、私にとっても望むところではないのですから。

John D.より

筆者略歴
John Dickinson
30年以上のキャリアを持つコンピュータ業界のベテラン。システムアナリスト、ソフトウェアエンジニア、編集者、ライター、批評家、業界アナリストなど多彩な顔を持つ。最近はEmachinesでインターネット事業部、ソフトウェア事業部のマネジャーをつとめた。

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