森祐治
2006/03/24 08:00
3月17日、ソフトバンクとヤフーは、共同でボーダフォン日本法人の買収を正式に発表した。これらの動向は、従来、官製的な様相が強かった通信産業に大きな変化が訪れていることを示している。これまで、技術レイヤごとに分断された形でサービスが提供される傾向にあった通信が、再度、バンドルされる端緒になりそうだからだ。
再び孫ショックが訪れるか
「日本を世界的なブロードバンド大国にしたのは孫正義だ」というステイトメントに異議はない。孫氏が、NTTグループが及び腰だったADSLに積極的に投資し、非常に廉価なサービスとして提供しない限りは、IP電話サービスも光ファイバによる超高速インターネット接続サービスの普及や提供価格帯も、現在のような状況ではなかったに違いない。
Yahoo! BBを開始した当初も、ADSLモデムを証券化することで大量に入荷し、街頭で配布するなどの奇をてらったプロモーションを行うことで、通常想定されていた普及スピードよりも極めて短期間でのサービス展開を実現した。結果的に通信などのサービスで一般的な「ゆっくりとしっかりと普及させる」というアプローチと比べても、効率的な展開を実現している。
もちろんその背景には、もたもたしていたらNTTグループが本格的に逆襲に出ることがわかっていたため、証券化や社債発行による外部資金の調達でキャッシュを十分に取り込み、それを短期間で放出することで不意打ちを食らわすような手法しか残されていなかったことがあるのかもしれない。それは、一種、身をていした戦略に他ならない。
今回も、1兆7500億円という空前の大半を、ボーダフォンのフリーキャッシュフローでまかなうノンリコースローンによるレバレッジドバイアウトという手法をとった。このため、さすがに「携帯電話の価格破壊」を期待しても、基本料金や通話料金の値下げや端末価格の圧倒的な値下げといったフリーキャッシュフローを直接に圧迫する手法は容易には取れまい。
注目すべきは、ボーダフォンが支払った4000億円と引き換えに発行された新株予約権だ。これによって、ソフトバンク/ヤフーは、国際企業であるVodafone Groupが今後の戦略に参画する可能性を残したからだ。
もちろん、第3世代携帯電話(3G)のための設備投資や膨大な研究開発費を差し引いてもなお、営業利益率18%近くを叩き出すNTTドコモに見られるように、ノンリコースローンの金利分を加えてもなお支払いに苦労することはない。それほどに、ケータイキャリアは「おいしい」ビジネスなのだ(ドコモの収益率は、同社のIRページを参照)。
しかし、どこか違和感が残る。それは決して「不快なもの」ではないのだが、これまでとはどこか違うという感覚はあるのだ。
それは、多分に今回の買収劇に通信事業者としてのソフトバンクのみではなく、グループ企業で日本ではポータルの圧倒的な巨人であるヤフーが参加することで、分断化(アンバンドル)が主流だった通信産業の流れを根本的に変えうる可能性を秘めているせいだ。
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