MSがYahoo買収断念、本当にこれで良かったの?

2008年5月4日 23時00分

 3カ月に渡る交渉の末、MicrosoftがYahoo買収提案を取り下げました。この一連のやり取りは、Microsoftが2月1日、Yahooへの総額446億ドルに上る買収提案を発表したことで始まりました。これに対してYahooは、提示された価格を受け入れることはなく、また自社の検索ページの一部においてGoogleの広告を試用するなどして抵抗しました。その結果、Microsoftは米国時間5月3日、Yahoo買収を断念したことを認めました。MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏は、「今もわたしはMicrosoftの提案が、Yahooの株価を正当に評価する唯一の選択肢だったと信じている。YahooとYahoo株主はわれわれと合意しなかったことで、非常に大きなチャンスを逃した」と語っています。

 この3カ月の間、さまざまなやり取りがMS、Yahoo、Googleの3社の間で交わされました。買収が果たされなかったことは、これら3社に、そしてインターネット検索およびオンライン広告市場にどのような影響を与えるのでしょうか。パネリストの皆さんの意見を聞かせてください。


  • 小川浩(@ogawakazuhiro)
    小川浩(@ogawakazuhiro)さん (株式会社リボルバー CEO)
    まず感じたことはジェリー・ヤン(を含むシリコンバレー系起業家)が本当にMSのことが嫌い、というか不信感をいだいているのだな、ということ。損得勘定で感情を押さえ込んで嫌いな相手の軍門に下るくらいなら、元々起業なんかしてないよな、と、心の中では拍手したい。

    ただ、Yahoo!にはPVを金に換えるための効率が急激に落ちているという問題を抱えており、技術面(やアイデア)でGoogleを明確に凌駕しない限り未来はない。
    同時にMSもハードウェアプラットフォーム上のOSではなく、ネットワークプラットフォーム上のOSへとシフトしつつある(つまりはクラウドコンピューティングの)世界にまだ自らをフィットできていない。広告事業云々というよりも、GoogleやAmazonに比べれば明らかにインターネットの本質を理解できていない、という致命的な問題を抱えている。

    両者ともにいえることは、基本的な技術力でGoogleに後じんを拝しているのではなく、ユーザー側に「技術で負けている」と思われていることが重要なのだ。Googleをはるかに超える徹底したクラウドコンピューティングへのシフトを実際に見せつけることによって(ソフト+サービスなどという中途半端なことを言っていては駄目なんだ)、ユーザーである我々にMSもYahoo!も「ついに本気になった!これは怖いぞ」と思わせることが大事なのである。


    AppleはGoogleやMSらに比べると遥かに小さな開発予算で世界を変えるようなプロダクトを輩出している。例えばiPodが必ずしも技術面でウォークマンに勝っているわけではない。優れている、新しい、クールだ、と思わせるためのエッジさを生み出すために、徹底して戦略を練っている。つまり、MSとYahoo!のいまのウィークポイントは、徹底できてない、なんだか常に中途半端に見えていること、なのである。

    2008-05-05 12:34:45

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