[ニュース解説] さあ、また始まった。
長年続いた米Microsoftに対する一連の反トラスト訴訟が、ようやく終結を迎えると思われた矢先、また新たな訴訟が起された。米RealNetworksは18日(米国時間)、MicrosoftがWindowsの独占状態を利用して、消費者のデジタルメディアに関する選択肢を違法に制限しているとして、同社を反トラスト法違反で提訴した。
これまでも米連邦政府、米国の多数の州、欧州連合(EU)、さらに米Sun Microsystems、仏Be、米Time WarnerのNetscape部門など複数の民間企業が、今回と同じ反トラスト法違反で同社を提訴してきている。成立した和解の大半はMicrosoft側に有利な内容だったが、一連の訴訟により、同社は独占企業としてのレッテルを貼られたのはもちろんのこと、(人的・金銭的)リソースや知力を消耗した。
Microsoftは驚くべき経済的成功を収めたが、その原動力となってきたWindowsの独占が原因で、長年の法廷闘争に苦しめられることになろうとは、なんとも皮肉な話だ。
Windowsオペレーティングシステム(OS)は、Microsoftが比較的遅れて参入したインターネットから、参入して間もない音楽やストリーミングビデオ/オーディオに至るまで、全ての分野における同社の技術戦略の中核を担ってきた。
しかしMicrosoftのライバル企業は、同社がそれまで独立したアプリケーションとして提供していた新機能をWindowsに次々と組み込むようになったことに、長年反感を抱いてきた。一方Microsoft側では、Windowsの発展には、コンピュータをより使いやすくするための技術の向上が反映されていると主張する。
これは、デジタルな境界線の設定をめぐる議論というよりは、Microsoftが最も大切にするものを守るために取らなくてはならない手段についての論争だ。
以下はMicrosoftに対して起こされた、数多くの訴訟の一部である。
2002年11月に事実審の裁判官が出した命令の条件に従い、MicrosoftはWindowsの搭載についてコンピュータメーカーに対し、より柔軟に対応すると共に、Windowsの内部プログラムの詳細情報を他のソフトメーカーに公開することで合意した。しかし今年11月、連邦控訴裁判所が再びこのケースを取り上げ、Microsoftに課された改善策のその後の効果について審理を行った。裁判所の命令は適切だと認められるのか、あるいはそれが破棄されより厳しい罰則が課されるか、現在判決待ちの状態だ。
外部から内側をのぞき込んでいる立場の者には、こうしたいくつもの訴訟--さらには新たに発生するもの--に関する解決策は、馬鹿げたほど簡単なものに思える。つまり、ただ妥協してしまえばいいじゃないか、と。しかし、マイクロソフトの支配するレッドモンドの地では、妥協というのは異端のする考えだ。これは、同社の敷地のなかに、妥協に抵抗を示す遺伝子が浮遊しているという程度の、簡単な話では済まない。Windows開発の話となると、Microsoftは自らが望むことをする権利が少しでも損なわれることに対して、 畳にへばりついてでも抵抗しようとする。
これまでのところ、この戦略はずっと成功を収めてきている。もっとも、「高くつく」という点を除けば、の話だが。そして、今後月日が経つに従い、この高価な戦略はますます高くつくことになりそうだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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