逆風にさらされるマイクロソフトのメディア戦略

 欧州の独占禁止監査機関からの高まる圧力を受け、自社のマルチメディアテクノロジーを世界標準にするという米Microsoftの努力は、逆風にさらされそうだ。

 8月6日(現地時間)に発表されたMicrosoftに対する強い調子の非難の中で、欧州委員会の委員は、WindowsオペレーティングシステムにWindows Mediaソフトを同梱することをやめさせるか、ライバル製品を強制的に同梱させる方向で検討を進めていると述べた。「Microsoftの力の濫用は、いまだに続いている」と、委員会メンバーは記している。

 この問題の成り行きはまだ不透明で、また現状維持につながるような和解案の可能性を示唆するアナリストもいるが、監督機関によるこのような厳しい警告は、Microsoftのメディア戦略に対し、新たなハードルを課すことになるかもしれない。Microsoftは、同社のソフトウェアが広く普及していることを大いにあてにして、レコード会社から映画館にいたるまで、独自のWindows Mediaオーディオ/ビデオフォーマットを売り込んできた。ソフトウェアがOSから強制的に外されることになれば、そのような魅力が失せることになると、アナリストは説明する。

 「ヨーロッパでソフトがOSから強制的に外されることになれば、Windows Mediaフォーマットに影響がでるだろう」と、Microsoftの戦略を専門とする調査会社Directions on MicrosoftのアナリストであるMatt Rosoffは述べている。「そうなれば、(競合関係にある、業界標準に準拠した)MPEG-4フォーマットが次世代のデファクト・スタンダードなるだろう」。

 Microsoftは、デスクトップ上でWindowsオペレーティングシステムの優位性を維持し、サーバ、セットトップボックスやハンドヘルドデバイスのような他の市場に参入していくうえで、デジタルメディアを重要な武器とみなしている。

 WindowsオペレーティングシステムからWindows Media Playerソフトウェアを外すことになれば、Microsoftのオーディオビジュアルソフトを最初からインストールした新しいコンピュータの数が減ることになる。しかし、何人かのアナリストは、たとえこのような禁止命令が出たとしても、Microsoftは早急に回避策を見つけるだろう、と述べた。

 Windowsには、Microsoftウェブサイトにアクセスし、アップデートをダウンロードする機能が既に備わっている。将来登場するWindowsのバージョンでは、ユーザーにWindows Mediaソフトウェアのダウンロードを促すメッセージを出し、そしてこのタスクをほぼ自動的に完了できるようにすることも可能だ。

 また、Microsoftのソフトウェア配布メカニズムが最終的に打撃を受けたとしても、同社には有利に働くほかの強みがある。Windows Mediaテクノロジーに組み込まれている同社のデジタル権利管理(DRM)技術は、著作権侵害を懸念する企業に同社のフォーマットの使用を薦めるうえで、欠かせないセールスポイントとなっている。

 委員会命令によって、他の会社がMicrosoftのコードにより簡単にアクセスできるようになれば、これらの会社はWindows Mediaと一層円滑に連動するデジタル権利管理技術を開発できるようになる。しかしこれで、最終的にはMicrosoftのフォーマットがより一層普及することにもつながることになる。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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