MicrosoftとAOL Time Warnerは29日、両社が広範囲におよぶ内容で合意に達したと発表した。この合意により、2002年1月にAOLのNetscape Communications部門がMicrosoftを反トラスト法違反で訴えた裁判は、MicrosoftがAOLに和解金7億5000万ドルを支払うことで取り下げられた。また、両社はデジタルメディアとソフトウェア配信で協力することとなったほか、AOLはMicrosoftのInternet Explorerブラウザの7年間の無料ライセンスを獲得した。
「両社にとって賢明なことを行うチャンスだ」とAOL Time Warnerの最高経営責任者(CEO)Dick Parsons氏は、報道陣との電話会議で述べている。
Microsoft会長のBill Gates氏も「これで昔の問題を忘れることができる。今回の合意で、いままでAOLと行ってきたブラウザ技術協力がさらに発展するうえ、新たなデジタルコンテンツ配信方法などの分野で協力を深められる」と電話会議で語った。
7億5000万ドルの和解金以外の、主な合意内容は以下の通り。
- MicrosoftはAOLに、Windows Media 9ソフトウェアの長期間・非排他的ライセンスを提供する。Windows Media 9は、デジタルメディアの再生、配信、著作権管理のためのソフトウェアだ。AOLには世界中に3200万人の契約ユーザーがいることを考えると、Microsoftは大市場への接点を持つことになる。
- 両社は、著作権を保護しながら利用可能なデジタルコンテンツの数を増やす方法など、デジタルメディア普及促進のための方策を共に探求していく。これは、Windows Mediaという独自の音楽・ビデオファイル用エンコーディング/著作権保護フォーマットを推進しているMicrosoftにとっては重要な内容だ。Time Warnerの信頼を得たことにより、Microsoftは他のコンテンツ会社やハードウェアメーカーからサポートを受けられる可能性がある。
- AOLは、同社の主力オンラインサービスでInternet Explorerを今後も利用するにあたって、7年間の利用料無料ライセンスを受ける。また、MicrosoftはAOLに今後のWindowsバージョンのベータテストを提供し、AOLが他のソフトウェアメーカーと同時期に同条件で次期「Longhorn」オペレーティングシステム(OS)のテストに参加できるようにする。
- 両社はAOLとMSN Messengerの統合に取り組んでいく。Microsoftは何年も前から両インターネットメッセージに互換性を持たせようとしてきたが、AOLは数百万にのぼる自社契約ユーザーを競合メッセージング製品から遮断して守るのだと主張していた。
- MicrosoftはAOL Time Warnerとのサポート契約を拡大し、AOLのエンジニアがMicrosoftの会社キャンパスで働けるようにする。
- Microsoftは、AOLのCD-ROMを世界中のパソコンメーカーに配布するため協力する。これによりAOLは、下降をたどる契約数に歯止めをかけられる可能性がある。同契約のもと、Microsoftは世界中のシステム構築会社、つまりMicrosoftの認可を受けた卸業者からWindows CDを購入している小規模なパソコンメーカーに対し、AOLのソフトウェアCDを配布する。
調査会社Gartnerによると、第1四半期に全世界のパソコンメーカーが出荷したパソコンのうち、55.8%はシェア上位5社以外によるのものとなっている。これらのメーカーは、29日の契約により、Windowsを注文するとAOLのCDを受け取ることになる。
「これはAOLにとって、非常に重要な契約だ」とIDCのアナリストRoger Kayは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。