神永裕人
2006/10/13 11:00
ジョーンズ氏たちのチームでは、Google Earthに代表される地図情報サービスのために、3つの主要なツールを提供している。「優れたツールは、人々の考え方を変える力を持っている。世界中には解決されていない多くの問題が潜んでいるが、優れたツールが開発されることで問題をきちんと認識できるようになり、解決への糸口をつかめるようにもなる」と、ジョーンズ氏は新しいツールを生み出していくことの大切さをまず強調した。
具体的に3つのツールとは、「Googleマップ」、「Googleマップ API」、そして「Google Earth」である。
第1のGoogleマップは、地図情報と、店舗や各種施設、道路などの情報を融合し、検索ができるようにしたツール。携帯電話向けのバージョンも用意されており、世界270カ国でこのツールにより情報を提供しているという。
2番目のGoogleマップ APIは、個人や企業、自治体などが持っている情報をGoogleマップ上で公開するための開発者向けツール。グーグルといえど、すべての情報を組織化できるわけではない。そこで、こうしたツールを用意することで、グーグル以外の人々にも手伝ってもらえるようにしよう、という考えから生まれたツールだという。このツールの提供開始から1年で、3万以上の企業・個人の開発者が何らかの情報をGoogleマップに提供するようになり、Googleマップに関するコメントが5000万件以上も飛び交い、話題にするブログも約13万サイトに達する勢いで増えている、とジョーンズ氏は報告した。また、企業向けのAPIも用意されており、企業内で利用できることから好評を博しているようだ。
そして第3番目のツールがGoogle Earthである。サービス開始から1年間で1億人がダウンロードしたという極めて高い関心を集めるこのツールでは、地球上のさまざまな情報がリアルな衛星写真と連動する形で共有されており、「Google Earthブラウザ」という専用のソフトで閲覧することができる。また、50万以上のメンバーが集まるコミュニティも立ち上がっており、地元のお気に入りのレストラン、旅行先での写真などを公開し合いながら盛り上がっているようだ。
さらに、より高度な使い方を望むユーザーやビジネスでの利用を考えている企業ユーザー向けには、有料の「Google Earth Pro」、「Google Earth Enterprise」といったバージョンが用意されている。そしてGoogle Earthの中に配置できる建物などを自由に作成するための3Dのモデリングツール「Google SketchUp」といった、Google Earthの楽しみを広げる新しいツールもリリースされ始めた。「これだけ影響力を持つようになると、ツールとして世界を席巻できる可能性がある」とジョーンズ氏は自信を見せる。
以上のような説明の後、Google Earthの魅力を具体的に紹介するため、さまざまな利用の仕方をデモンストレーションした。
多数の地震センサーからの情報をGoogle Earthに取り込み、地震の発生状況を視覚的に見ることができるほか、昨年、米国に深刻な被害を及ぼしたハリケーン「カトリーナ」の経路や発達の様子を時間軸に沿ってトレースするといった活用法を披露した。また、大学生が夏休みの課題として約3ヶ月で作ったというサイトも紹介された。ライブカメラやマイク、センサーなどからの情報をGoogle Earthから直接確認できるようにしているのだが、遠い日本からでも、まるでその場所に居るかのように周囲の風景や鳥の泣き声を体験できることには、会場からも驚きの声があがった。
「Google Earthによって、地球を新しい方法で理解できるようになった」とジョーンズ氏。コンピューティングの機能を上手に活用することで、フィクションをできるだけ少なくし、事実をもっと見ることができるようになるという。そして、「そのためのツールを提供することが我々の役割であり、その結果、世界はもっともっとより良いものになっていくだろう」と述べ、締めくくった。
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