サムスンは新製品発表イベント「Galaxy Unpacked 2025」で、最新のフラッグシップスマートフォン「Galaxy S25 Ultra」を発表した。軽量化されたデザイン、Galaxy用にカスタマイズされた「Snapdragon 8 Elite」チップセット、刷新されたカメラシステムなど、新しいGalaxyはさまざまな面で改良され、買いたくなる魅力にあふれている。しかし、問題はこの端末が「自分にとってベストな選択なのか」だ。
フラッグシップモデルだからといって、自分にとって完璧とは限らない。他の選択肢の方が適している場合もある。例えば、Googleの「Pixel 9 Pro XL」だ。この2機種はどちらもクラス最高の性能を誇り、スペックも似ているが、それぞれ大きな差別化要因となる特徴を備えている。Galaxy S25 Ultraか、Pixel 9 Pro XLか――自分にぴったりの1台を決めかねているなら、ぜひ続きを読んでほしい。
Galaxy S25 Ultra | Pixel 9 Pro XL | |
---|---|---|
画面 | 6.9インチ QuadHD+ Dynamic AMOLED | 6.8インチ Super Actua |
プロセッサー | Qualcomm Snapdragon 8 Elite | Google Tensor G4 |
RAM/ストレージ | 12GB/256GB、512GB、1TB | 16GB/128GB、256GB、512GB |
バッテリー | 5000mAh | 5060mAh |
カメラ | 200MPメイン、50MP超広角、50MP望遠、10MP望遠、12MP前面 | 50MPメイン、48MP超広角、48MP望遠、42MP前面 |
サイズ(mm) | 162.8 x 77.6 x 8.2 | 162.8 x 76.6 x 8.5 |
重さ | 218g | 221g |
価格 | 19万9800円~ | 15万9900円~ |
どちらのスマートフォンも最高水準のカメラを搭載しているが、より優れているのはGalaxy S25 Ultraだろう。2億画素のメインレンズを含めて、基本的なレンズ構成は前世代の「Galaxy S24 Ultra」と変わらないが、新たに5000万画素の超広角レンズが採用され、さまざまな角度から超高精細な写真を撮影できるようになった。サムスンによれば、新しいGalaxyで撮影した風景写真は「卓越した鮮明さ」を備えているという。
カメラ周りでは、レンズだけでなくソフトウェアの面にも改良が加えられた。例えば10ビットのHDR録画がデフォルトで適用され、豊かな色表現が可能になった。新搭載の「バーチャルアパーチャー」機能により、被写界深度もコントロール可能だ。この他、低照度撮影やノイズ低減も向上した。
Googleの「Tensor G4」も称賛に値するチップだが、Qualcommの「Snapdragon 8 Elite」はさらに優秀だ。前モデル「Snapdragon 8 Gen 3」と比較して、CPU性能は37%、GPU性能は30%、ニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)性能は40%向上した。
Galaxy S25シリーズは、すべてのモデルにこのチップが搭載されているが、Galaxy S25 Ultraにしかない機能もある。例えば「ProScaler」は、人工知能(AI)を使って画質を高める機能だ。プロセッサーに内蔵された「mobile Digital Natural Image engine (mDNIe)」により、「ディスプレイの電力効率」も高まった。ゲームに関しては、「Vulkan Engineと向上したレイ・トレーシング」により、なめらかでリアルなプレイを実現するという。
AIが好きなら、AI生成機能を多数搭載したGalaxy S25 Ultraがおすすめだ。Googleの「かこって検索」機能はアップグレードされ、より高速になった。画面上の電話番号やメールアドレス、URLを認識し、すばやくスキャンして、電話をかけたり、メールを送ったり、ウェブサイトに直接アクセスしたりすることができる。
時間に追われる現代人をサポートするAIツールも搭載された。例えば「通話記録」は通話内容を記録して文字に起こしてくれるため、重要な情報を忘れる心配がない。「Personal Data Engine」はGalaxy S25 Ultraをパーソナライズするツールで、ユーザーの使用パターンをもとに「高度にカスタマイズされたAI体験」を提供する。
言うまでもないが、フラッグシップ端末は値も張る。Galaxy S25 Ultraは最小構成でも1299.99ドル(日本では19万9800円)となっており、心と財布の準備が必要だ。もし価格がネックなら、GoogleのPixel 9 Pro XLは949ドル(日本では15万9900円)だ。2024年8月の発売からしばらくたっているため、安く買える可能性もある。それでも現在手に入る中では最高水準のスマートフォンであり、幅広い用途に利用できる。
軽いと言っても重量の話ではない。Galaxy S25 Ultraは218gで、Pixel 9 Pro XLとほぼ同じだ。ここで言う「軽い」とは、ソフトウェアを指す。端末に搭載されている機能の数は、端末の使い勝手にも影響を与えるからだ。
2024年の比較記事で指摘したように、Pixel 9 Pro XLはソフトウェアを厳選しているのに対して、Galaxy S24 Ultraは過剰なほど多機能だ。この傾向はGalaxy S25 Ultraでも変わらないどころか、むしろ悪化している。「かこって検索」のアップグレードとゲーム性能の向上は歓迎すべき変化だが、一般的なユーザーには活用しきれないかもしれない。
シンプルなスマートフォンの方がいいなら、Pixel 9 Pro XLがおすすめだ。多すぎる機能に圧倒される心配がなく、UIを強化するツールも複雑すぎない。シンプルで親しみやすく、テクノロジーに詳しくない人でもわかりやすいインターフェースだと感じるだろう。
誤解のないように言っておくと、Galaxy S25 Ultraもパワフルな端末だ。Snapdragon 8 Elite SoC(システム・オン・チップ)を搭載しているため、レンダリング性能は非常に高い。盛りだくさんのAIツールは間違いなく、ユーザーの生産性を高めてくれるだろう。しかし、これだけの技術を詰め込んでおきながら、Galaxy S25 Ultraは12GBのRAMしか積んでいない。これはサムスンの大きな失策だと感じる。
AIソフトウェアはスマートフォンのハードウェアにかなりの負荷をかけるため、メモリーが足りなければパフォーマンスが低下する恐れがある。Googleは、このことをPixel 9 Pro XLの開発段階から認識していたのだろう。AI技術をサポートするために、GoogleはPixel 9 Pro XLに16GBのRAMを積んだ。この大容量のRAMが、この端末が高い評価を得ている一因となっている。もちろん、実際に使ってみればメモリー不足の心配は杞憂に終わるかもしれない。しかしそれまでは、メモリー容量はGalaxy S25 Ultraが抱える懸念材料だ。
Galaxy S25 Ultraこの記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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