Appleの「iPhone」には、スマートフォンに望みうる最高のカメラが常に搭載されてきた。では、新モデルの「iPhone 16 Pro」は、Googleの最上位モデル「Pixel 9 Pro XL」と比べるとどうだろうか。
筆者は、両機種を持って英エディンバラの美しい街に繰り出し、カメラ性能を比較してみた。
Google Pixel 9 Pro XL
(Amazon:同リンクから購入すると編集部に収益が発生する場合があります)
「Pixel」シリーズからは、「iPhone 15 Pro」との勝負ですでに素晴らしい印象を受けたことがある。際立つ発色で、ズーム倍率が高いときの画質も大抵勝っていた。かたやiPhone 16 Proは、2023年モデルから大きな変更こそないものの、再度の勝負にふさわしい微調整が加えられている。
画像はいずれも、別途注記しない限り、JPEGまたはHEIC形式で、すべて標準のカメラアプリのデフォルトモードで撮影した。
最初の2枚は、いい感じの落ち葉が美しい黄金色に輝くこの景色だ。Pixel 9 Pro XLの方が色に暖かみがあって鮮やかなことが一目で分かる。それに比べると、iPhone 16 Proの写真は少しくすんでいて寒色寄りに見える。
両機種で5倍の光学ズームを使って撮ったこちらでも、Pixel 9 Pro XLの方が色調は暖かい。
市民農園を見下ろしたこの写真になると、特に差が顕著だ。Pixel 9 Pro XLの画質は色調がかなりニュートラルだが、iPhone 16 Proの方はホワイトバランスが極端に青に寄っていて、あまり見栄えがよくない。
5倍ズームで撮ったこちらの写真でもPixel 9 Pro XLの方が色調はくっきりとしていて暖かい。ただし、次の写真3枚の一番下はiPhone 16シリーズの新機能「フォトグラフスタイル」を使った1枚で、風景にだいぶ暖かみを取り戻すことができた。フォトグラフスタイルを使うとずっと良くなるが、それでも筆者はPixel 9 Pro XLで撮ったときの色の豊かさの方が好きだ。
ところが、エディンバラの美しいディーンヴィレッジで撮影した写真になると、話が違ってくる。iPhone 16 Proの方が全体的に風景が明るく撮れていて、右にある黄色い建物と、前景の草地を見るとその差が特によく分かる。これなら、間違いなくiPhone 16 Proの方が好みだ。
スコットランド国立博物館の美しい建物に入ってからも、iPhone 16 Proの方が画像は明るく鮮明だった。特に、2階より上のオレンジ色の床の暖かみは気に入っている。一方、Pixel 9 Pro XLの画像は全体的にだいぶ精彩に欠ける。
超広角レンズに切り替えたときも同様だった。iPhone 16 Proの画像は明るく色彩豊かだが、Pixel 9 Pro XLの画像は全体的にかなりフラットな印象だ。
超広角の別の2枚だが、結果は変わらない。
今度は、両機種ともパノラマモードに切り替え、最上階からさらに広角の視野をとらえた。Pixel 9 Pro XLはパノラマ機能がアップデートされたものの、概して残念に感じた。この例のようにiPhone 16 Proよりも画質がフラットになってしまうだけではなく、静止画のつなげ方の関係で、画角のセンターを決めるのが難しいのだ。iPhoneは「横移動」させていく方式なので、同じ1枚に収めたい範囲で撮影を開始し、終了するだけで均等な写真が撮れる。
屋内撮影で、美味しそうなコーヒーの写真は、iPhone 16 Proの方がずっと明るく鮮やかだ。
エディンバラにたくさんある古いパブの店内で撮ったこの2枚は、違いがかなり分かりにくい。Pixel 9 Pro XLの方が光の当たり方が均等で、樽のハイライトが控えめ。一方、色調とコントラストはiPhone 16 Proの方が良く、特に敷石のフロアリングは立体的に感じられる。
美味しそうな1杯のビール。どちらもきれいに撮れているが、Pixel 9 Pro XLは若干マゼンタ寄りになっている。背景のぼやけ具合、写真家がよくいうボケはiPhone 16 Proの方が強く出ていて、筆者の目にはこちらの方が好ましい。
別のパブに移動したところ(どうせ撮影テストをするなら、ついでにパブをハシゴしてもいいだろう)。常連客が集い、にぎやかなフォークミュージックが流れる午後を楽しんでいる。iPhone 16 Proの方が全体的な色では勝っているが、シャープさの点ではPixel 9 Pro XLに軍配が上がる。
照明の暗いパブの店内で、ビールタップをズーム撮影してみた。iPhone 16 Proの方が目に見えて明るくシャープだ。
こちらはPixel 9 Pro XLの画像の方が、全体的にiPhone 16 Proよりわずかに明るいのだが、話はそれで終わらない。
ズームインしたところ、Pixel 9 Pro XLではネオンサインの文字が完全に飛んで、何も読み取れない白い四角になってしまった。iPhone 16 Proの方がハイライトのバランス処理がずっとうまく、ネオンサインも見事に処理している。ただし、手前の人物の髪はPixel 9 Pro XLの方がわずかに明るくシャープだ。
ところが、同じ場面の別の部分にズームインしてみると、今度はこの人物のシャツも髪もiPhone 16 Proの方がずっとシャープに写っている。ここでは、総合するとiPhone 16 Proの勝ちのようだが、勝負は接戦だった。
だが、こちらは接戦というわけにはいかなかった。この路上の写真では、Pixel 9 Pro XLのナイトモードがシャドウ部分を人工的に明るくしすぎていて、全体の画像がだいぶ不自然に見える。一方、iPhone 16 Proではシャドウ部分がリアルなままに保たれており、夜空の微妙な色合いもうまく再現している。この勝負の差は歴然だと感じた。
こちらもiPhone 16 Proの圧勝だ。Pixel 9 Pro XLはハイライトを大幅に下げたため、明るく鮮やかなはずの「ESF」というネオン看板も、左に見えているウィンドウ内の灯りも、奇妙に見える。iPhone 16 Proの方がずっと、むらがない。iPhoneで撮影したときのレンズフレアは好きではないのだが、ここではレンズにわずかな汚れがあったのが原因だったかもしれない。
屋内で超広角に切り替えたところ。Pixel 9 Pro XLの画像の方が、色は勝っていた。
ただし、iPhone 16 Proと比べると、明らかに細部のシャープさが甘い。ここはPixel 9 Pro XLのカメラ性能で残念な点だ。
しかし、こちらの写真ではGoogleがある程度まで汚名を返上した。ウィンドウの灯りを、Pixel 9 Pro XLの方が暖かい色でとらえている。ただし、iPhone 16 Proの方が右手にある黒板スタンドはわずかにシャープに写っている。全体的には、Pixel 9 Pro XLの画像の方が好みだ。
ところが、ここでは間違いなくiPhone 16 Proの方がいい。「PERA」というサインの明るさがうまく制御されていて、鮮やかな黄色に写っている。それに対して、Pixel 9 Pro XLの画像では色が飛んで白っぽくなってしまった。
ただし、Pixel 9 Pro XLの画像の方がシャープで、目に見えるディテールは高く、全体的なコントラストも高い。
iPhone 16 ProとPixel 9 Pro XLは、ともにハイエンドのフラッグシップモデルであり、どちらも写真性能はトップクラスだ。したがって、今回の勝負が驚くほど接戦だったのも不思議ではない。一部の写真、特に博物館内で広角やパノラマモードを使った写真では、明らかにiPhone 16 Proの勝ちだった。それ以外の場面では、Pixel 9 Pro XLの方が暖かみと鮮やかさに優れており、写真はきれいに見えた。
総合的に、筆者としてはiPhone 16 Proの写真の方が好みである。より自然に見える傾向があり、そのため自分で編集するときにもベースとして扱いやすい。もちろん、iPhoneのフォトグラフスタイルという要素はあって、撮影の前に画像を調整できる幅は広い。特にハイコントラストの白黒モードをはじめとする機能は本当に楽しめた。この手の美観上のカスタマイズ機能が、Pixelに足りない大きな要素だということも分かった。
Google Pixel 9 Pro XL
(Amazon:同リンクから購入すると編集部に収益が発生する場合があります)
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」