「タイミー」「メルカリ ハロ」のサービス名で知られるスキマバイトサービスで、闇バイトが掲載されていた、あるいは掲載される可能性が指摘されて、話題となっている。SNSだけでなく求人サイトでも闇バイトが募集されている実態があるのだ。闇バイト募集は、どうやって見分ければいいのだろうか。
タイミーに掲載されていたのは、次のようなものだ。「深夜の散歩が好きな方必見!夜道で猫を探すバイト」。勤務時間は真夜中1時半から4時半までであり、3時間7500円と高額報酬をうたっている。
「情報漏洩防止の為、携帯電話や荷物を預かります」とされており、条件には「指示やお願いに素直に行動できる方」と書かれていたため、「猫探しなのにスマホを預かるなんて。猫ではなくて防犯カメラなどをチェックする闇バイトでは」と騒動になってしまったというわけだ。
その後、タイミーの公式「X」では、闇バイトの注意喚起を行っている。怪しい求人内容があったらアプリ内の通報ボタンから通報すること、募集内容は通常だったが現場で違和感を感じたらすぐに勤務を終了し、通報ボタンで知らせることを推奨している。
<タイミーの闇バイト対策についてお知らせ>
— タイミー (@Timee_official) November 8, 2024
タイミーでは、求人を掲載する事業者のチェックと、求人内容のチェックを中心に闇バイト対策を徹底しています。
求人内容は、勤務日までに全件チェックする体制を構築しており、怪しい求人は掲載を止める措置を講じています。…
過去には、大手求人サイト「インディード」「エンゲージ」、掲示板サイト「ジモティー」などで、「ハンドキャリー」「回収」のアルバイトなどと称して闇バイトが募集されていたことが分かっている。求人サイトで「配達員」の募集に応募した結果、闇バイトに加担する羽目になり、逮捕されたケースもある。
SNSやそのほかで、闇バイト募集があふれている実態があるのだ。われわれは、どのように闇バイトを見分ければいいのだろうか。
闇バイトに応募してしまう理由は、生活が苦しいから、遊ぶお金がほしいからなどが考えられる。闇バイトと知りながら、軽い気持ちで応募してしまう人もいる。
しかしそれ以外に、闇バイトと気付かずに応募してしまうケースも一定数あるようだ。実際、求人サイトなどで募集されているケースには、気付かずに応募してしまったケースが含まれていることは間違いないだろう。
自分がどのくらい見抜けるのか心配という方は、こちらの「特殊詐欺加害防止特設サイト」で、どちらが闇バイト募集かどうかを見抜くクイズにトライしてみてはどうか。三問あるので、家族みんなで試してみてほしい。
闇バイト募集に共通していることは、「報酬が高すぎて時給の記載がないこと」「連絡手段がDM(ダイレクトメッセージ)と指定されていること」だ。
アルバイトの多くが時給制であり、2024年4月の全国パート・アルバイト平均時給は1359円(ディップ株式会社調査)で、1日8時間働いても1万円ほどが相場だ。これより飛び抜けて高い場合は、闇バイトなどの犯罪の可能性が高いのだ。
また、応募者とのやり取りに匿名性の高いSNSのDMを使えば足がつきにくいため、犯罪に利用されることが多くなっている。これまでは「テレグラム」の利用が多かったが、最近では「Signal」(シグナル)の利用が目立つ。
シグナルはプライバシーを重視したメッセージアプリであり、強化されたエンドツーエンド暗号により、通信を完璧に保護するとされ、最近犯罪での悪用が目立つため、「シグナルを使用」と言われた場合は警戒する必要があるだろう。
そのほか、仕事内容が明確であること、仕事の発注先が連絡先を明記した実態のある企業であることなども見分けるポイントとなるだろう。SNSより求人サイトで募集さている募集の方が問題ないものが多いので、求人サイトの活用も検討したい。
警察庁の発表によると、2023年1~7月末までに検挙された被疑者が受け子などになった経緯は「SNSからの応募」が46.9%で、約半数が闇バイトをきっかけに特殊詐欺に関与したことが分かっている。
トビラシステムズの「闇バイトの実態調査」(2024年2月)によると、闇バイトまたはそれと思われる求人をSNSやインターネット上で見たことがある人は、15歳~19歳で29.1%、20代で26.6%となっている。若者はSNSの滞在時感が長く、闇バイト募集に接する割合が高いのだ。
ディップが2023年12月に実施した調査によると、前述のクイズに解答した高校生250人のうち3問とも正しく答えられた生徒は全体の23%にとどまった。8割近くはSNSで発信される求人情報が危険であるかどうかの判別がつかなかったのだ。最近は、シニア層がバイト感覚で闇バイトに応募してしまうケースも増えている。
闇バイト募集を見分ける力は、あらゆる世代に求められている。見分け方について家族で話し合ったり、心配な時は応募前に家族に相談するよう伝えておくことで、家族が闇バイトに加担するリスクを抑えることができるだろう。ぜひ参考にしてほしい。
高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。執筆・講演・メディア出演・監修などを手掛ける。教育出版中学国語教科書にコラム 掲載中。元小学校教員。
公式サイト:https://www.akiakatsuki.com/
Twitter:@akiakatsuki
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