エネルギーを大量に消費する人工知能(AI)の利用が拡大する中、大手IT企業が米国の原子力発電を大きく後押ししている。
Amazonは米国時間10月16日、データセンターなどに電力を供給する原子力発電プロジェクトの推進に向け、3件の契約を締結したと発表した。このわずか2日前には、Googleが小型原発との電力購入契約を発表していた。
Googleは発表の中で、「科学の大きな進歩の力となり、企業と顧客へのサービスを改善し、国家の競争力と経済成長を促進するAI技術を支えるため、電力網には新たな電力源が必要だ」と述べた。
Microsoftも9月、Constellation Energyと協力し、1970年代後半に米国史上最悪の原発事故を起こしたスリーマイル島の発電所から、データセンターに電力を供給する計画を発表した。
OpenAIの「ChatGPT」、Googleの「Gemini」、Microsoftの「Copilot」などが使用している生成AIモデルは、大量のデータセットを処理・分析し、複雑なタスクをこなし、AIシステムを訓練するために、データセンターの膨大な計算能力を必要とする。
AmazonとGoogleの各原発プロジェクトには、小型モジュール炉(SMR)という新たな原子力技術が関わっている。この先進的な構造は物理的な設置面積をより小さくでき、従来の原子炉よりも迅速に建設できるよう設計されている。
両社は、気候変動の主な要因である二酸化炭素(CO2)排出量の削減を掲げている。「気候変動に対処する最も迅速な方法の1つは、社会をカーボンフリーのエネルギー源に移行させることだ。原子力エネルギーはカーボンフリーであり、規模を拡大できる」と、Amazon Web Servicesの最高経営責任者(CEO)であるMatt Garman氏は発表の中で述べている。
Amazonの契約先は、ワシントン州の公益事業者によるコンソーシアムであるEnergy Northwest、SMRを手掛けるX-energy、バージニア州の電力会社Dominion Energy。Energy Northwestとの契約では4基のSMRを開発し、米国の77万世帯以上に相当する電力を発電する見込みだ。
Amazon signs agreements for innovative nuclear energy projects to address growing energy demandsこの記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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