Echo Frames(第3世代)は、前世代からの順当なアップデートだ。軽量化、バッテリー駆動時間の延長に加えて、低音の表現力も強化された。Amazonの人気音声アシスタント、Alexaと直接(そして自然に)コミュニケーションできるというシリーズの特長も健在だ。
もちろん、Echo Framesにできることはそれだけではない。2週間のレビューで体験したことを紹介する。
Echo Framesは、スマートグラスの中ではエントリーモデルに位置づけられる。先進的な製品を試してみたいが、ある程度の実用性もほしい人には理想的な選択肢だ。筆者はこの1年間、たくさんのスマートグラスを使ってきたが、その中でもEcho Framesは「普通のメガネ」の見た目に最も近い。1月初旬に「CES 2024」に参加するために飛行機に乗った際に、そのメリットを痛感した。
今回は移動中にEcho FramesとMetaの「Ray-Ban」ブランドのスマートグラスを両方試したいと考えていた。通常のセキュリティチェックを通過しようとしたところ、2度も止められた。カメラを搭載したRay-Banグラスが不審物と見なされたためだ。一方、Echo Framesは近くで見てもプラスチック製の普通の度入りメガネにしか見えないため、一度も疑われなかった(2つもスマートグラスを持ち歩いているとは思われなかっただけかもしれないが)。
宣伝文句に違わず、Echo Framesはかけていてもほとんど重さを感じない。重量のほとんどはフレームの側面、つまりスピーカーやボタンなどの小さなパーツを格納した部分に分散されているためだ。つるの先端はゴム製で形を調整しフィット感を高められるが、調整するとEcho Framesを折りたたみにくくなると感じた。
多少雑にたたんでも同梱の携帯ケースには簡単に収納できるが、充電したい場合は注意が必要だ。というのも、USB-C対応の携帯ケースに入れるだけで充電できるMetaのRay-Banグラスに対して、Echo Framesはケースとは別に充電用のドックがあり、スマートグラスについているワイヤレス給電用のコイルを合わせる必要がある。これがくせ者で、スマートグラスを(メガネユーザーとしては気が引けるが)無理矢理隙間に押し込むか、ていねいに折り曲げて、正しい位置にはめ込まなければならない。筆者の場合、10回中9回は無理矢理押し込んだ。
機能面では、Echo FramesはMetaのRay-BanグラスのようにAIカメラを搭載しているわけではなく、XR対応スマートグラスのように、現実世界に仮想世界を重ねて表示できるわけでもない。Echo Framesにできることは、通常のスマートフォンやスマートハブと同様に、Bluetooth経由での音楽のストリーミング再生、電話への応答やテキストメッセージの送信、通知の読み上げ、Alexa対応のスマートホーム機器との通信だ。繰り返すが、Echo Framesはエントリーレベルのスマートグラスだ。これは悪いことではない。
筆者の自宅はそれほどスマート化されていないが、Echo Framesを使って家中のスマートスイッチをオン・オフできた。スイッチを操作するために、充電中のスマートフォンを台所やベッドまで取りに行く必要がないので、時間の節約にもなる。たいていのスマートデバイスはAlexaに対応しているため、筆者が3年前に玄関ドアに設置したAugustのスマートロックの操作コマンドも問題なく作成できた。
Echo Framesにできることはスマートホームの操作だけではない。夜に散歩しながらポッドキャストを聴いたり、電話をかけたりするのも快適だった。これは密閉型イヤホンと違って、周囲の音が聞こえなくなる心配がないせいかもしれないし、パワフルな重低音よりも中高音域を得意とするEcho Framesのスピーカーのせいかもしれない。おそらく、その両方だろう。Echo Framesのスピーカーは声の表現には長けているが、複数の要素が混在するオーディオの再生は及第点という印象を受けた。
最後に、ボタン操作はもう少しシンプルな方がいいと感じた。ただ筆者は音声コマンドを使う方が多いため、承諾/拒否(またはマイクのミュート)にフロントボタンやバックボタンを押す必要があっても、それほど気にならなかった。旧世代のEcho Framesのユーザーは、タッチストリップやスワイプのジェスチャーが廃止されているため、操作方法を覚え直す必要がある。
Echo Frames(第3世代)は最安でも269.99ドルであり、価格面の競争力は高いとは言えない。MetaのRay-Banグラスの方が30ドル高いだけで、Echo Framesよりもできることは多い。
しかし、Echo Framesには大きなセールスポイントが2つある。1つはAlexaとの連携、もう1つはデザインだ。自宅をスマートホーム化している人なら、いつでも使えるコントローラー(と1日中持つバッテリー)があれば間違いなく重宝するだろう。スマートグラスを初めて買う人にとっても、小型プロジェクターやカメラが仕込まれたモデルより、はるかに気楽に試せるはずだ。もちろん、空港のセキュリティチェックで止められる心配も少ない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス