NTTは11月7日、日本における自動運転技術を活用したサービスの本格実用化を見据えてMay MobilityのシリーズDにおけるリードインベスターとして出資し、同社の自動運転システムの国内独占販売権を獲得したと発表した。
昨今、少子高齢化や物流の2024年問題などを背景に、地域における運転手不足が顕在化。自動運転技術による社会課題の解決が期待されている。2023年4月1日には改正道路交通法が施行され、特定条件の下、自動運転レベル4での公道走行が許可されるなど、自動運転サービスの社会実装に向けた機運が高まっている。
May Mobilityは、北米や日本の12都市において、35万回以上の自動運転走行の実績を持つ。NTTは、May Mobilityが日本の交通事情にも適合する自動運転技術を保有すると判断。5G、ローカル5G、6Gといった高速・高信頼の通信ネットワークサービス環境やIOWN構想を持つ強みを生かすべく、出資、独占販売権の獲得に至ったという。
なお、May Mobilityは2022年6月、ソフトバンクと業務提携を発表していたが、国内独占販売権はNTTが獲得した形になった。
今後は、地域の交通事業者、地域住民をはじめとする、多様なステークホルダーとの連携を推進。需要が見込まれる地域では、自動運転サービスの社会実装を進める。より安心・安全な自動運転サービスを継続的に供給する体制を整えていくとしている。
NTT 代表取締役社長を務める島田明氏は最初の取り組みとして、2024年に一定のあるエリアの中で、高齢者の行動の習慣、運転の特徴といった日本の特性を把握するための実証実験を実施したいと明かす。
「日本の環境に合う自動運転の形ができた段階で、自治体やバス運行会社のコミュニティバス(向け)から提供したい。実証に必要な期間は実施してみないと分からないが、早ければ2025年くらいからのサービス開始を目指す。ドライバー不足で運行本数を減らすなどの社会的課題を解決する一つの手段としてこういったソフトウェアを提供し、それぞれの運行事業者が顧客ニーズにあったサービスが展開できるような形に持っていきたい」(島田氏)という。
また、サービス提供には傘下となるNTTドコモのモバイル回線が重要な要素となる。昨今の“つながらない”問題に対して300億円を投資して改善することを発表しているが、「課題があるのは事実で、そういうところはしっかり強化していく。コロナ禍が明けてトラフィックは1.7倍に増えており、これからもまだまだ増えていく。ドコモに対しては12月までに90%と伝えているが、できるだけ早い段階で100%、いや120%まで持ち上げていけるようにしたい」(島田氏)と話した。
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