パナソニック エレクトリックワークス社は6月20日、2022年度の決算内容を振り返るとともに、市場環境や中期戦略について説明した。各ポートフォリオで着実に成長し、中期初年度の公表値を達成したという。
パナソニック エレクトリックワークス(EW)社社長の大瀧清氏は「2022年度のEBITDAは『パナソニック株式会社』全体の2059億円に対し、エレクトリックワークス社は749億円と7.5%を占めた。2021年度の655億円から94億円増となっている」と堅調に推移したと話した。
国内の市況については、2024年度までは新築着工、件名ともに底堅いとし「東名阪を中心に案件は目白押し。取りこぼしなくやりきる。2025年度以降は確定している件名もまだ少なく、お役立ちを高める施策が必要」(大瀧氏)とコメントした。
パナソニックでは、2025年以降への備えとして組織変更を実施。海外事業本部を各組織へ再編したほか、マーケティング本部、ソリューションエンジニアリング本部、ライティング事業部、電材&くらしエネルギー事業部の4部体制に移行。大瀧氏は「海外事業本部は地域に権限と責任を渡す形で発展的に解消し、自主経営体制で海外事業強靭化と事業拡大を目指す。新たに立ち上げたソリューションエンジニアリング本部は、マーケティング本部、ライティング事業部、エナジーシステム事業部の非住宅エンジニアリング関連機能を集め、多様化するニーズに対し、バリューチェーン全体で価値提供をしていく。新たな価値創出を加速したい」と目指す姿を示した。
主力商材である電材については「建設業界のエコシステム内で活動している。建設工事の総額は124兆円で、そのうち設備工事が32兆円。全体の25%を占めており、さらに電気工事業界が担うのは11兆円で、私たちはそのうちの材の3兆円で事業をしている」(大瀧氏)と業界の構造について説明。主な取扱商材は照明器具、配線器具、住宅用分電盤など。「マーケティング本部には販売機能も持ち、他分社、他事業会社の商材も組み合わせて販売している」という。
大瀧氏はパナソニック EW社の強みを「多品種、高品質の商品を届け、ステークホルダーとエコシステムを構築することが大事。電材業界のニーズにあった商品、技術、コスト力で、代理店、工事店のカバー率を向上していく」と説明。世界各国で強みをいかしたビジネスモデルで成長していく構えだ。
ポートフォリオ戦略については、国内は2030年にソリューション比率50%、2024年にビジネスモデルを確立し「お客様とつながり価値を創出し続けるビジネス展開」していくとのこと。海外においては、2030年に販売比率を40%まで引き上げ、分社EBITDA額の50%以上を稼ぐ。
大瀧氏は今後の注力ポイントとして「ビルオペレーション」「オフィスWell- Being」「パブリックエンタメ」「エネルギーソリューション」の4つを挙げ「4重点市場でソリューションを立ち上げていく」とのこと。ソリューションの取り組み事例として「WELL認証取得支援サービス」「オフィス診断レポートサービス」「街演出クラウドサービス YOI-en」「LANTERNAクラウドサービス」などを紹介した。
今後については「業務プロセスの見直しと顧客データ活用によるDXを推進していく。営業に『Salesforce』を活用するとともに、2023年度は生成AIをいかした業務効率化も視野に入れている」(大瀧氏)と見直しを進めていると明かした。
また「世界のエネルギー動向と社会課題を受けて、しっかりと取り組んでいる」としたエネルギーソリューションについては、「ZEH」「ZEB」「地域脱炭素」など、国策と連動した施策で脱炭素社会に貢献。すでに提供している「Chargement」、V2H蓄電システム「eneplat」、水素を活用したRE100ソリューション実証「H2 KIBOU FIELD」、純水素型燃料電池「H2 KIBOU」については「着実に立ち上がっている。市場の関心は高い」とした。
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