パナソニック エレクトリックワークス社が提供する、広域や多拠点の照明演出ができるクラウドサービス「街演出クラウド YOI-en」(YOI-en/ヨイエン)が、街づくりを照明から変えようとしている。パナソニック エレクトリックワークス社門真本社となるにYOI-enの体験場所として「YOI-en Field」を設置。ショールームとして機能する場所を設け、本格普及へと弾みをつける。
YOI-enは、PCからインターネット経由でコントローラにつながった照明の制御ができるクラウドサービス。道路などを跨いだ広域や、多拠点が連動した照明演出を実現できることが特徴で、制御システムと照明器具を拠点ごとに制御する人が必要だった、既存の照明演出システムに比べ、パソコン操作での一括管理が可能だ。
パナソニックでは、2022年10月にYOI-enの提供を開始。東京都江東区有明の「パナソニックセンター東京」でライトアップ演出に採用するほか、2月に北海道札幌市で開催した「サッポロアートキャンプ」で体験型演出コンテンツ「YOI-iro」(よいいろ)を実施するなど、活用の場を広げている。
パナソニック エレクトリックワークス社ソリューションエンジニアリング本部ソリューション事業統括部商品・サービス企画部 事業・営業企画課の宮本千琴氏は「外国人観光客の増加や観光の活性化など、国内外の来訪者を集める街づくりに注目が集まっている。YOI-enは、そうした街づくりの計画の1つとして広域地域一帯の仕掛けとして活用できる」と街づくりの仕掛けとしてアピールする。
YOI-enでは、季節ごとにライトアップの色を変える「シーズンカラー」、グリーンリボンデー、ホワイトリボンデーなど社会活動に合わせてカラーリングをする「アウェアネスカラー」、光に動きと変化を与え、誘導や回遊などを光でサポートする「アフォーダンスライティング」、街の来訪者のスマートフォンで街のライトアップを操作できる「YOI-iro」といった独自のコンテンツを用意する。
「今までは、照明演出を切り替えたいが専用機器が必要になったり、スキルが十分でなかったりと課題があったが、YOI-enではお客様自身のPCから管理ができ、省力、省人化にもつながる。コンテンツを選択するだけで演出が可能なため、フレキシブルな演出ができる」(宮本氏)とメリットを強調する。
3月に大阪府門真市のパナソニック エレクトリックワークス社本社内にオープンした「YOI-en Field(ヨイエンフィールド)」は、YOI-enの演出がその場で見られ、ショールーム的な役割を果たす。パナソニック内のエントランス、並木道、芝生広場と3エリア、約1.7ヘクタールに計285台の照明器具を設置。日没から22時までの間、さまざまなYOI-enによる照明演出を披露する。
パナソニック エレクトリックワークス社デザインセンターライティングデザイン部の城寳俊亮氏は「オフィス構内を街に見立て、明かりの体験価値を提供している。クラウドから一括制御しており、拠点間の回遊を促し、街全体の一体感形成につながる」とコンセプトを話す。
並木道の演出では、桜の木を引き立てるライトアップが施され、樹木だけでなく、周囲の建物にもライトアップを施すことで、一体感を演出。建物の輪郭を強調することで、樹木や花を引き立たせているという。「四季折々の演出ができ、時期によって表情を変えることで、年間通して、夜の名所になる」(城寳氏)と演出効果を期待する。
芝生が広がる芝生広場では、公園を想定し、開放的な演出を採用。イベントやアクティビティ、季節に合わせた照明演出を可能だという。芝生はもちろん、周囲にある樹木や建物までライトアップすることで、視界全体に光が広がり、没入感が得られる。
芝生広場では、来訪客が自身のスマートフォンを使ってライトアップができるYOI-iro演出も用意する。QRコードを読み取り、誕生日を入力すると、花占いの結果にあわせたテーマのライトアップが再生されるというもので、自分の誕生花のカラーで、あたり一面を染められる新たな体験が可能だ。
YOI-en Fieldのスタートにより、社員からは「オフィスへいく楽しみを感じる」「新鮮な気持ちになる」などの意見が寄せられているという。「照明演出が社員間での共通の話題となり、コミュニケーションの活性化にもつながっている」(城寳氏)と社員のエンゲージメント向上にも寄与する。
今後は、導入を検討している人に対し、YOI-en Fieldを実体験してもらうなどの使い方を想定しているという。
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