ソニーの新型スマートフォン「Xperia 1 V」は、これまでの「Xperia 1」シリーズからその最高の機能をすべて受け継いでいる。4K高リフレッシュレートのディスプレイ、拡張可能なストレージ、瞳を検出するオートフォーカスを備えた最新のカメラ、5000mAhのバッテリー、専用のハードウェアシャッターボタン、ヘッドホンジャックなどが、ソニーの美しさと日常使いの実用性を兼ね備えたデザインに収められている。ターゲット層は、写真家や映像制作者、ミュージシャン、ゲーマーなど、制作するコンテンツを自分で微調整したいと考えるクリエイティブなユーザーであり、その層の創作を高めてくれる数々の機能が満載だ。
本体の両側面には細い筋を彫った凹凸があって、握りやすい。Qualcommの「Snapdragon 8 Gen 2」プロセッサーを搭載しているので動作は高速、「Gorilla Glass Victus 2」の採用で画面の耐久度が強化されている。「Photography Pro」と「Videography Pro」のアプリで横向きと縦向きを切り替えられる機能も申し分ない。本体背面のガラスには微細なテクスチャーが施されていて、見た目の良さを引き上げている。ただし、価格は確かに高いものの、これをただの豪華なスマートフォンと語るわけにはいかない。
それから、忘れてはならないカメラがある。2022年12月、AppleのTim Cook氏は、同社とソニーが「iPhone」のカメラをめぐって10年以上の長きに及ぶパートナーシップを続けてきたことをTwitterに投稿した。そのツイートには、ソニーのカメラ開発施設でテスト中のiPhoneをCook氏がのぞき込んでいる写真も添えられていて、まるでドラマ「LAW & ORDER:犯罪心理捜査班」のときの俳優Vincent D'Onofrioのようだった。AppleはiPhoneにソニー製のカメラセンサーを使っており、同じセンサーがXperiaシリーズで初めて搭載されていることも多い。Xperia 1 Vで特に大きなアップグレードの1つが、メインカメラの新しいセンサーだ。ただし、このセンサーが今後のiPhoneに搭載される保証はないということは指摘しておいた方がいいだろう。
筆者は、ソニーからお借りした生産開始前のXperia 1 Vを約1週間使ってみた。ほぼすべての点が印象的だったが、中でもカメラは素晴らしい。ソニーは、AppleやGoogle、サムスンと同様にコンピュテーショナルフォトグラフィーをさらに活用して、その最先端のハードウェアを新たなレベルに押し上げている。
だが、こういった素晴らしい仕様に水をさす難点もある。Xperia 1 Vは1399.99ドル(日本では価格は未定だが、レート換算だと約19万円)だ。この数字に目を疑う人も多いだろう。しかも、その価格で折りたたみ式ではないのだ。実際、Xperia 1 Vは、想像しがたいことをやってのけている。1199.99ドル(日本では19万7650円から)のサムスンの「Galaxy S23 Ultra」でさえ手頃に見えてしまう。そしてXperia 1 Vは、リフレッシュレート120Hzの4Kディスプレイと、カメラ専用機のようなレンズ要素を備えた望遠カメラを搭載しており、筆者の知る限り、これほどの仕様を備えているのは2022年の前モデルを除けば、Xperia 1 Vだけだ。Galaxy S23 Ultraと「iPhone 14 Pro」は、どちらにも対応していない。にもかかわらず、Appleとサムスンは、同じくらい素晴らしい写真や動画を撮影できる道を見いだしている。ときにはソニーを上回るくらいでありながら、ソニーほど極端な価格は付けていない。要するに、1000ドル(約13万6000円)前後とか1200ドルでも十分に高価なのだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス