ソニー「Xperia 1 V」レビュー：アップルとサムスンに迫るクリエイター向けスマホ - (page 4)

　ここで、Galaxy S23 Ultraも比較対象に加えてみよう。下の写真は、飲食店「Luna」でベイクドエッグを撮影したものだ。iPhone 14 Proの写真はシャープすぎるように見える。パンに注目してほしい。色は少し控え目だ。それから、左側から日光が差し込んでおり、頭上には暖色の照明がある。iPhone 14 Proのホワイトバランスの方がクールに見える。Galaxy S23 Ultraの写真はロメスコソースの赤い色を正確に再現しており、全体的な色温度に関して言えば、最も優れていた。Xperia 1 Vの写真は間違いなく暖色寄りで、彩度が高すぎるように見える。さらに、Xperia 1 Vでは、パンではなくケールにピントが合っている。筆者もパンではなくケールをもっと食べるようにと医師から言われている。

Xperia 1 Vで撮影
提供：Patrick Holland/CNET

　次はもっと暗い場所に行ってみよう。筆者は地下にある「Smuggler's Cove」というバーを選んだ。ここでは、スマートフォンのナイトモードを使って写真を撮影した。この3枚の写真の中で最も気に入ったのは、Galaxy S23 Ultraで撮影した写真だ。Xperia 1 Vも影と色をうまく再現しているが、撮影時にバーテンダーが動いていたため、ハイライトが飛んでおり、所々ぼやけた写真になっている。

Xperia 1 Vで撮影
提供：Patrick Holland/CNET

　全体として、ソニーがXperiaのコンピュテーショナルフォトグラフィーを強化してくれたことをうれしく思う。それによって、ほとんどの状況で画質が向上しているが、筆者のテストでは、ナイトモードに関してはサムスンの方が優れていることも明らかになった。

　動画に関して言えば、明るい光の下では、Xperia 1 Vの画質はiPhone 14 ProやGalaxy S23 Ultraと同等の水準だ。しかし、暗所での動画撮影では、強力な動画処理機能を備えたiPhone 14 Proの方が優れている。各機種の動画のサンプルを確認したい人は、Xperia 1 Vについての筆者のレビュー動画を視聴してほしい。

　さまざまなテストを実施したところで、写真や動画を撮影するプロセスについて考慮することも同様に重要だ。この点に関しては、Xperia 1 VがiPhone 14 ProとGalaxy S23 Ultraよりも優れている。写真や動画の仕上がりが自分の狙いどおりになるように、設定を調整することを好む人がいるが、Xperia 1 Vはそうしたユーザーをターゲットにしている。片手での全自動撮影を想定して設計されているわけではない。

　Xperia 1 VのPhotography ProアプリやVideography Proアプリ（および「Cinematography Pro」アプリ）を使用すると、細部まで調整して、自分の思いどおりの写真や動画に仕上げることができる。iPhone 14 ProとGalaxy S23 Ultraでも、同様の機能を備えたサードパーティー製アプリを利用できるが、ソニーと同じ水準の機能を提供するものは見たことがない。Photography Proは基本的に、Xperia 1 Vのインターフェースをソニーの「α」シリーズのカメラと全く同じものに変える。Xperia 1 Vの右側面には、専用のハードウェアシャッターボタンも配置されている。これは、iPhone 14 ProとGalaxy S23 Ultraにはないものだ。

　今回の試用中に最も印象に残った瞬間の1つは、おそらく、米CNETのプリンシパルビデオプロデューサーを務める同僚のJohn Kim記者と筆者がレビュー動画を撮影していたときの出来事だろう。Salesforce Parkを歩いていたとき、筆者は地面に雛鳥を見つけた。Photography Proアプリを開くと、カメラの瞳オートフォーカス機能が即座に起動し、その雛鳥の目に焦点を合わせて、追跡した。画面をタップする必要さえなかった。

提供：Patrick Holland/CNET