人工知能(AI)の開発競争が本格化し、大手ハイテク企業がトップの座をめぐって競争を繰り広げている。サムスンの最近の動きに見られるように、Googleなどの企業にとっては、莫大な金額の契約がこの勝負の行方にかかっている。
サムスンのスマートフォンを所有した経験がある人なら、同社端末のデフォルトの検索エンジンが「Google」であることを知っているだろう。しかし、それがまさに変更されようとしている可能性がある。The New York Times(NYT)によると、サムスンは、同社の携帯端末のデフォルトの検索エンジンをGoogleからMicrosoftの「Bing」に切り替えることを検討中だという。
これまで検索エンジンの中で敗者と見られてきたMicrosoft Bingは、AI搭載の新しいBingによって、急速に人気を博している。
NYTが確認したメッセージによると、サムスンのスマートフォンにおけるデフォルトの座をBingに奪われるかもしれないという脅威に、Googleは「パニック」になったという。Googleはサムスンとの契約で、年間約30億ドル(約4000億円)の収益を得ている。Googleはまだ、サムスンのスマートフォンにおけるデフォルト検索エンジンの座を維持できる可能性があるが、そのためには急いで行動しなければならない。
同社は現在、競合企業に対抗するために、AIを搭載した新しい検索エンジンを急ピッチで構築するとともに、現行の検索エンジンにAI機能を搭載しているという。
新しい検索機能は、「Magi」というプロジェクト名の下で開発されており、ユーザー体験の最適化とパーソナライズを目的としている。Googleでは現在、160人以上がフルタイムでこれらの機能に取り組んでいるという。
同機能は米国のみで提供される計画で、最初は100万人のユーザーを対象に提供し、2023年末までに対象を3000万人にまで段階的に拡大する予定だと報じられている。
同プロジェクトでは、ソフトウェア開発の質問に答えたり、コードスニペットを生成したりするチャットボットを開発しているようだ。また、チャットボットとの対話を通じて楽曲を検索できる機能もテストされているという。さらに新機能には、閲覧中のウェブページをチャットボットが読み込み、文脈に合った情報を提供してくれる「Search Along」という機能も含まれると報じられている。
競合企業に追いつくために急ピッチで開発を進めるGoogleは、同社のAIチャットボット「Bard」で犯した過ちを繰り返すリスクを抱えている。
同社は2月にBardをリリースした。しかし、このチャットボットのスタートは前途多難で、リリースは期待外れに終わり、最高経営責任者(CEO)であるSundar Pichai氏は、「ChatGPT」やBingのチャットと比べて「レーシングカーの競技に、チューンアップした大衆車を投入したように感じている」と述べている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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