サムスンは、2月に「Galaxy S23」シリーズを発表したとき、「Galaxy S23 Ultra」には「Galaxy S22 Ultra」の2倍のリサイクル部品が含まれていることを強調した。それは、同社がこの数年間、持続可能性の名の下に重ねてきた改善の1つである。電源アダプターの同梱(どうこん)を廃止することで、同社は製品パッケージのスリム化も実現している。
しかし、持続可能性とは、単に素材をリサイクルしたり、再利用したりすることだけではない。専門家によると、修理のしやすさも、廃棄物の削減と循環型経済への移行に大きく寄与するという。サムスンには、その方面でやるべきことがまだたくさん残っている。電子機器の修理方法を紹介するウェブサイトiFixitの技術者によると、「Galaxy S22」やGalaxy S23といったサムスンの最近のスマートフォンは、修理のしやすさという点で、改善の余地があるという。
テキサス州にある巨大な倉庫は、そうした状況を変えようとする同社の取り組みにおいて、鍵を握るかもしれない。同州アービングにあるこの修理センターには、毎月約1万4500台のガジェットが届く。サムスンはこのセンターで、単に故障したデバイスを分解するだけではなく、修理工程の分析も行うことで、今後の製品設計や手順に応用できる学びを得ている。
電子廃棄物に対する懸念が強まっていること、また、最上位モデルのスマートフォンの価格が1000ドル(約13万円)を超えていることを受けて、デバイスをできるだけ長く使い続けることへの関心が高まっている。保険会社のAssurantが2022年9月に発表した調査によると、下取りに出されるスマートフォンの平均使用年数が初めて3年半を超えたという。この変化は、スマートフォンユーザーが次のモデルにアップグレードするまでの期間が長くなっていることを示唆している。
デバイスを修理しやすくすることと、修理サービスを利用しやすくすることは、スマートフォンのライフサイクルをさらに延長する上で、重要な要素だ。サムスンにとって、修理工程の改善に向けた次の大きなステップは、ユーザーが故障したスマホを郵送してから、修理済みのものを受け取るまでの時間を短縮することだろう。
Samsung Electronics Americaのカスタマーケア部門でバイスプレジデントを務めるMark Williams氏は、「可能な限り即日に近づけたい」と語っている。
2万3000平方フィート(約2137平方m)という広大な倉庫には、あらゆる形や大きさの機械が至る所に置かれている。さまざまな機械から発せられるビープ音や空気が吹き出す音を除けば、静かだ。郵送修理に対応するサムスンの同施設は、まるでスマートフォンの病院のようだ。ここでは、画面が分解され、新しい画面が慎重に取り付けられたり、いくつもの診断テストが行われたりしている。
同社によると、毎月送られてくるデバイスのうち67%がスマートフォン、24%がスマートウォッチ、6%がイヤホン、3%がタブレットだという。
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