Nair氏は、下取りプログラムが関係者全員にとって「三方よし」だと話している。つまり、ユーザーは古いデバイスから収益を得られ、携帯通信会社は売り上げが増え、他の市場の消費者は、これまで手が出せなかったデバイスを利用できるようになる。
「環境にとっても、格別な効果がある」と、Nair氏は付け加えている。「これらのデバイスがゴミにならずに済むからだ」
デバイスがいよいよ製品寿命の最後を迎えた段階で、部品の一部をリサイクルできる。カリフォルニア州の有害物質管理局(DTSC)によると、携帯電話の80%は再利用が可能だという。回路基板に使われている貴金属、つまり金や銀、プラチナなどは特に価値が高い。
同局の自主的な調査報告データによると、カリフォルニア州では2021年に366万台の携帯電話がリサイクルされた、とDTSCは米ZDNETに語った。同州でリサイクルの実績に弾みがついたのは、2004年に「California Cell Phone Recycling Act(カリフォルニア州携帯電話リサイクル法)」が成立してからだという。携帯電話の小売業者は、中古の携帯電話を回収して再利用、リサイクル、または適切に処分しなければならず、かつ消費者には費用を負担させてはならないと同法では定められている。2019年以降、カリフォルニア州で販売されリサイクルされた携帯電話のリサイクル率は、19%から35%に上がったと推定される。
スマートフォンのリサイクルを実現する技術も向上し続けている。2020年にAppleが発表した新しいリサイクル作業ロボット「Dave」は、iPhoneの「Taptic Engine」を分解して希土類磁石やタングステンといった貴重な資源をより効率的に回収する。また、同社が「Daisy」と名付けた別のロボットは、iPhoneの各種部品から鋼鉄を回収できる。
DeloitteのLee氏は、スマートフォン市場の持続可能性が向上することについて、見通しは明るいと考えている。環境に優しいビジネス慣習は、市場経済と矛盾しないからだ。ハイエンドのスマートフォンは、世代が1つ進んでも大きくは変わらない。したがって消費者が同じデバイスを長く使う、あるいは中古デバイスを検討する動機になる、と同氏は指摘する。
「スマートフォンの変化は、過去8年間における変化ほど大きくはならないだろう」とLee氏。「そうなると、製品寿命は長くなってくる。必ずしも、消費者がCO2削減を意識しているということではない。単に新品の格安スマートフォンよりも、5年物の高級品を買いたいと考えているのかもしれないということだ」(Lee氏)
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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