フードテック官民協議会は2月21日、第3回 総会/提案・報告会を開催した。フードテックの推進ビジョンとロードマップ案が発表され、フードテックロードマップは賛成多数で可決された。
フードテック推進ビジョン(PDF)では「世界の食料需要の増大に対応した持続可能な食料供給を実現する」「食品産業の生産性の向上を実現する」「個人の多様なニーズを満たす豊かで健康な食生活を実現する」の3つを目指すテーマとして掲げており、具体的な取り組みとしては「プレーヤーの育成」と「マーケットの創出」としている。
プレーヤーの育成において農林水産省は「オープンイノベーションの促進」や「スタートアップ育成のための適切な資金供給」を進めていく考えを示した。マーケットの創出については新たな市場を作り出すための環境整備に必要なルール整備、食経験の少ない食品に対する「安全確保の取り組み」や「適切な表示等を実施すること」によって消費者の信頼を得ていくとしている。
ロードマップ(PDF)で示されたのは、「植物由来の代替タンパク質源」「昆虫食・昆虫飼料」「スマート育種のうちゲノム編集」「細胞性食品」「食品産業の自動化・省力化」「情報技術による人の健康実現」の6つだ。
植物由来の代替タンパク質源について、農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部 新事業・食品産業政策課 課長補佐(新事業創出班担当)の井戸萌愛氏は「民間企業では味や食感、香り等の向上に向けた技術開発や、研究機構等での大豆ミートに適した品種の開発などが進められている。国際的にはプラントベースフードのISO(国際標準化機構)の規格策定が進んでおり、こちらの議論にも積極的に参加している」と語った。
「昆虫食・昆虫飼料」について「大量生産段階に移行してコストダウンするための取り組みが進んでおり、餌(飼料)に関しては給餌適性があるかどうかの実証を行っている。2022年7月に昆虫ワーキングチームでコオロギの生産ガイドラインを作っていただいたが、他の昆虫種についても検討中だ」と井戸氏は語った。
スマート育種のうちゲノム編集について、「生物多様性影響に関する情報提供プロセスの迅速化やアウトリーチ(一般に広く伝える)活動を進めていくことで、できるだけ世の中にこのような商品が出るようにしたい」(井戸氏)という。
細胞性食品について「立体構造の作成技術やコスト削減のための技術開発と並行してルール整備のために安全性確保、表示ルール、種細胞の取り扱い、家畜衛生などの取り組みを進めている」(井戸氏)という。
食品産業の自動化・省力化については、「AI・ロボットの現場での普及を図るための補助金配布や、AI・ロボットの対応範囲を少しでも広げるための研究開発を進めている。弊省でも『ロボットと人間の協働のための安全確保のためのガイドライン』を整備中だ」(井戸氏)と説明した。
情報技術による人の健康実現については、「個別最適食のようなものだが、個人の健康データや摂食内容などを簡便に低負荷で取り入れられるような技術手法の開発を進められている。ルールに関しては個人情報等が含まれる健康データの取り扱いについて業界でも議論が進んでいるところ」(井戸氏)と話した。
フードテック推進ビジョンやロードマップに対してのパブリックコメントの抜粋とそれに対する農林水産省の考え方も紹介しよう。
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