ZEROCOは8月19日、代表取締役社長を務める楠本修二郎氏が農業生産法人JAPAN FARM PARTNER(ジャパンファームパートナー)の代表取締役社長に就任し、鮮度保持技術
「ZEROCO」を用いたバリューチェーン構築による新事業を開始すると発表した。
ZEROCOは、温度0度かつ湿度100%弱の庫内環境を実現することで食材や食品の鮮度を長期間保持できるほか、冷凍前の予備冷却や解凍にも活用できる技術。楠本氏はこれを「雪下野菜からヒントを得たテクノロジーで、冷蔵でも冷凍でもない第三の保存技術」だと説明し、ZEROCOの活用によって、食材本来のおいしさを届けられるとした。
また、生鮮食品を長期間保存できることで、食産業のサプライチェーンにおける在庫保管、出荷調整によるオペレーションの軽減、フードロスの削減などにも貢献できるという。
ジャパンファームパートナーはこのZEROCOを活用し、野菜や果物、鮮魚、精肉などの生鮮食品を長期間保存することで、生産者が在庫を持ち、自らの意思で価格を決定できる新たなバリューチェーンの構築を目指す。これにより、担い手不足やフードロス、一次産業の労働環境などの課題を解決していくという。
また、ジャパンファームパートナーが展開してきた石垣島の自然環境を中心とした農業、漁業、畜産業などの生産事業のほか、流通の健全化を目指す産直卸事業、次世代型農業を推進するコントラクター事業、事業統合促進事業、バイオ事業、教育事業など6つの事業を展開し、持続可能な一次産業の実現を目指す。
さらに、生産者、行政、教育機関、シェフ、投資家など、産業を横断した多様なステークホルダーとのパートナーシップを構築するため、「つくりてパートナーシップ」「産官学連携パートナーシップ」「若手育成パートナーシップ」「シェフズパートナーシップ」「インベストメントパートナーシップ」の、5つのパートナーシップ制度を展開していくという。
楠本氏は新事業開始の背景として、食産業を支える農業や漁業の担い手不足が深刻化していることを挙げた。
「食産業は、全産業の中で唯一、生産者が価格を自らの意思で決定できない。生産物の価格を上げられず、在庫をコントロールすることもできないため、消費者都合による効率性と利便性を追求する既存のサプライチェーンシステムに頼るしかない状況になってしまっている。この負のスパイラルから脱却しない限り、担い手となる若い世代の参入は難しいままだ」(楠本氏)
今後の展開として、北海道に約50坪のZEROCOを設置し、生産地が在庫を持つことができる仕組みの実証実験を計画している。ジャパンファームパートナーはZEROCOの活用により、一次産業が抱える課題の解決に向けて取り組みを進めていくという。
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