フードテック官民協議会、推進ビジョンとロードマップ案を発表--概要レポート - (page 2)

フードテックの推進に向けた5つの支援事業

 総会では、フードテックに関する「フードテックビジネス実証支援事業」「食品産業労働生産性向上技術導入実証事業」「農林水産・食品関連スタートアップ等へのリスクマネー緊急対策」「成長型中小企業等研究開発支援事業」と「一気通貫型生産性向上機器・システム等開発・導入支援事業」の5つの支援事業の説明があった。

 フードテックビジネス実証支援事業(令和4年度補正予算額:1億円)は、フードテックを用いて新しいビジネスモデルを実証する際にかかる費用の2分の1を補助するというもの。令和4年度補正予算を用いており、「3月上旬をめどに公募を開始できるよう準備を進めている」(担当者)。

「フードテックビジネス実証支援事業」(令和4年度補正予算額:1億円)の概要
「フードテックビジネス実証支援事業」(令和4年度補正予算額:1億円)の概要

 食品産業労働生産性向上技術導入実証事業(令和4年度補正予算額:1億5000万円)は、ロボットやAIなどの導入を通じて食品産業の課題の一つである労働生産性の向上や人手不足の解消を実現する実証事業のことだ。

「食品産業労働生産性向上技術導入実証事業」(令和4年度補正予算額:1億5000万円)の概要
「食品産業労働生産性向上技術導入実証事業」(令和4年度補正予算額:1億5000万円)の概要

 「1つ目はAI、ロボット、IoTなどを活用した自動化、リモート化、非接触化などの技術を食品製造業または飲食店の現場にモデル的に導入して実証する取り組みの支援。2つ目は既存の技術の改良支援だ。たとえば、大規模工場で既に使われている技術を、より規模の小さい企業にも導入しやすくするため、スペックを絞って低価格化する、または既存の技術の精度を高めたり、他の機能を追加したりするなどの改良に要する経費を支援する。これらは本事業の運営主体である日本能率協会コンサルティングのウェブサイトで3月上旬から6月上旬まで公募を行う予定」(担当者)

 農林水産・食品関連スタートアップ等へのリスクマネー緊急対策(令和4年度補正予算額:50億円)は、輸出に取り組む農林漁業者、食品産業事業者やアグリフードテックのスタートアップなどに円滑な資金供給を図るため、農林水産省の承認を受けた投資主体である株式会社や投資事業有限責任組合が事業者の皆様への出資による支援を行う。

「農林水産・食品関連スタートアップ等へのリスクマネー緊急対策」(令和4年度補正予算額:50億円)の概要
「農林水産・食品関連スタートアップ等へのリスクマネー緊急対策」(令和4年度補正予算額:50億円)の概要

 「支援対象となる事業者は農林漁業者や食品メーカーのほか、食品流通事業者や商社、小売業者、食品製造機械や食品包材などを作るメーカー、フードテックやアグリテック系のベンチャー企業、スタートアップ企業など食に関わるすべての事業者となる。国内法人だけでなく、輸出に取り組む海外現地法人も支援対象となる。資金使途に制約はなく、国内農林水産物、食品の輸出拡大に向けた取り組みなど、日本の農林漁業または食品産業の成長発展に寄与する範囲であれば幅広く活用できる」(担当者)

 成長型中小企業等研究開発支援事業(令和4年度補正予算額:133億円)と「一気通貫型生産性向上機器・システム等開発・導入支援事業」は経済産業省が行うものだ。

「成長型中小企業等研究開発支援事業」(令和4年度補正予算額:133億円)の概要
「成長型中小企業等研究開発支援事業」(令和4年度補正予算額:133億円)の概要

 「業種によって中小企業の定義は違うが、製造業の場合は従業員300名以下、資本金1億円以下のどちらかに該当すれば中小企業になる。『成長型中小企業等研究開発支援事業』は中小企業の方が大学や自治体の公設試験研究機関などと連携をして取り組む2年以上の研究開発を最大3年まで、1年間でだいたい4500万円、3年間で9750万円を上限に支援する。加えて『出資獲得枠』を今年度から設けている。ファンドなどから出資を受けられる予定がある方は、この出資獲得枠で1年間に1億円、3年間で最大3億円の補助が受けられる。来年度の募集も近々に開始する予定だ」(担当者)

 一気通貫型生産性向上機器・システム等開発・導入支援事業は、業種や業界ごとに中小企業の生産性向上をはばむ共通課題を解決できる機器やソフトウェアの開発を支援するもの。

「一気通貫型生産性向上機器・システム等開発・導入支援事業」の概要
「一気通貫型生産性向上機器・システム等開発・導入支援事業」の概要

 「フェーズ1では業界団体などに提案いただいた、業種・業態で中小企業に共通する課題をわれわれが認定する。その課題を解決するシステムやツールをメーカーやベンダーに開発していただく。この開発に特に補助を差し上げるわけではないが、フェーズ3で持ってきていただいた機器やソフトウェアをわれわれが認定する。それらを中小企業の方が導入される際に、中小企業庁の補助金で導入の支援をする仕組みだ。2023年5月ぐらいから課題の認定の募集を開始し、機器の認定はその半年後ぐらいから開始したいと考えている」(担当者)

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