茨城県つくば市は、防災科学技術研究所、シャープとともに、「シャープ製のIoT家電を防災で活用するための検討に関する共同研究契約」を締結。つくば市内にて「発話機能搭載家電を利用した防災情報伝達実験」を行なう。実証実験の期間は、2月27日から3月5日を予定している。
音声発話機能を備えたシャープの冷蔵庫、エアコン、空気清浄機の対象機種を利用しているつくば市民を対象に参加者を募集する。募集期間は2月13日~19日。
対象となる機種は、冷蔵庫がSJ-AFシリーズ、SJ-AWシリーズ、SJ-FAシリーズ、SJ-GKシリーズ、SJ-MFシリーズ、SJ-MWシリーズ。エアコンがAY-Xシリーズ。空気清浄機がKI-75シリーズ、KI-100シリーズ。
クラウド音声発話機能を持つ生活家電を使って、地域住民に防災情報を伝達する実証実験としては日本初となる。
シャープは、以前から家電をクラウドのプラットフォームにつなぎ、AI(人工知能)が、利用履歴や生活スタイルを学習して最適なサービスを提案する「AIoT」家電に着手している。AIoTはシャープの造語で、現在AIoT対応家電は12カテゴリー、累計786機種以上が稼働しているという。また、市町村カバー率は約99%だ。
AIoT対応家電を使い、何ができるのか。たとえばAIoT対応家電の冷蔵庫なら、周辺スーパーの特売情報をお知らせするほか、食材を上手に保存できる冷蔵・冷凍術や解凍方法を音声で教えてくれる。エアコンの場合は、居住地域の天気に関するトピックスを朝や夜に発話してお知らせするほか、エアコンのお手入れ時期や上手な使い方を提案する。エアコンの場合は音声で知らせるだけでなく、天気情報などを元に温度を制御するといったことも可能だ。
シャープではこの「AIoTプラットフォーム」をさまざまな企業に提供しており、見守りサービスや、スマートライトなどのデバイス連携などを行なっている。
こうしたAIoT対応家電に、防災科研が注目。シャープとともに防災への活用方法を探る中で、つくば市へ相談し、今回の実証実験に至ったという。
まずは第一弾として、「発話機能機能搭載家電を利用した防災情報伝達実験」を実施する。
シャープ製IoT家電では、本体に内蔵された定型の音声メッセージに加え、クラウド上にある音声データを状況に合わせて発話できる。今回の実験では指定した家電に防災情報を試験発信する。
具体的には、防災情報を模した音声情報を各家電から1日数回発信し、期間終了後に音声情報の内容をどの程度認知したか確認することで、家電の発話による防災情報の伝達効果、適切な音量などを検証するという。今回発話する内容は、誤解を避けるため、「乾燥しているため火災に気をつけましょう」など防災のちょっとしたお役立ち情報を発話する。
シャープ Smart Appliances & Solutions事業本部AIoT事業推進部 部長の中田尋経氏によると、家電は家の中で使うため、生活スペースの中でいつでも目の前にあるところが特徴だという。
「普段の生活に溶け込んでいる家電が、もしもの時に、いろいろな情報を発信することで、防災に役立つかどうかを本実証実験で検証したい」としている。
将来的には、家電を通して家の中の情報(家事をしている、不在かどうかなど)を災害対応機関に提供することで、必要に応じて救助に向かうなどの対応をすることを見据える。
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