フードテック官民協議会、初のビジネスコンテスト--5つの社会的課題解決のアイデアとは - (page 2)

食や健康をパーソライズ--パフォーマンスアップにも期待

 ●小山正浩氏(ウェルナス)「すべての人の未来に寄り添う『AI食』」

 優秀賞に輝いたウェルナスの小山正浩氏は「すべての人に寄り添う新しい考え方のフードテックであり、栄養2.0の技術」として「AI食」を紹介した。

ウェルナスの小山正浩氏
ウェルナスの小山正浩氏

 AI食とは「自分自身の食と体のデータを解析し、体のデータを改善・改悪する栄養素を特定することで、健康目標を実現するように栄養調整した個別栄養最適食のこと」だと小山氏は話す。

AI食のコンセプト
AI食のコンセプト

 「ダイエットの場合、日々の体重と摂取栄養素量が変化を解析することで体重を減らす栄養素、増やす栄養素を個別に特定できる。ビタミンやミネラルのような、カロリーや糖質と関与しない栄養素を調整することで体重をコントロールできるため、カロリー制限や糖質制限に頼る必要がない。この技術は既に完成しており、MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)をローンチ済みだ」(小山氏)

 AI食の提供価値として小山氏は「ユーザー一人ひとりの健康目標達成のための関与栄養素を解き明かすせる」ことと、「健康目標達成のために個別栄養最適化した食を提供できる」ことを挙げた。

AI食の提供価値
AI食の提供価値

 「これによって、ユーザー個人に寄り添って健康実現をサポートする革新的サービスが可能になった。脳機能や運動機能向上といったパフォーマンスアップにも活用できる」(小山氏)

 AI食の実証実験では、100人規模で摂取カロリーを維持した状況下でのAI食の体重改善効果をAI食摂取の頻度ごとに検証しており、「毎日3食AI食を食べた方で83%、毎日1食でも65%の方に体重減少効果が見られた」と小山氏は語る。

AI食の効果について実証実験も行っている
AI食の効果について実証実験も行っている

 1月からAI食情報提供サービス「NEWTRISH」の提供を開始した。目標達成に関与する栄養素が分かる無料の「Liteプラン」と、栄養素に加えて食材が分かる月額1400円の「Basicプラン」、最短で目標を達成するためのメニューを提供する月額4万4800円の「Spremacyプラン」の3つを用意している。

2023年1月にはAI食情報提供サービス「NEWTRISH」の提供を開始した
2023年1月にはAI食情報提供サービス「NEWTRISH」の提供を開始した

 「NEWTRISHはB2C向け、B2B向けの両方に展開しており、食事管理アプリ『あすけん』のアクティブユーザー約23万人を最初のターゲットとしている。まずは無料プランでAI食の技術を体感いただき、課金ユーザーの声を無料プランのユーザーにフィードバックすることでモチベーションを高め、課金ユーザーを増やしていく。すでにあすけんとは事業連携済みで、広告施策も打って順調にユーザーが伸びている」(小山氏)

 B2Bはより高い効果を求めるスポーツチームと健康経営企業に提供し、アスリート向けにはSpremacyプランで個別対応するとのことだ。

 「健康経営企業については管理者向けの個別レポートや、社員のデータを閲覧できる権限を与えたSpremacyプランを提供しており、利用客を増やしている。まずはアスリートや健康意識の高い方など約2753万人を対象に開始しているが、多くの方が使えるサービスを開発してAI食ビジネスのスケール化を目指していく。来年以降は若年層の健康な体作り、中高年の生活習慣予防、高齢者の健康寿命延伸といった社会課題解決にも貢献していく」(小山氏)

AI食ビジネス実現のためのロードマップ
AI食ビジネス実現のためのロードマップ

 審査員を務めた一般社団法人AgVenture Lab 代表理事 理事長の荻野浩輝氏は次のように講評した。

 「コロナ禍のステイホームで、家族でご飯を一緒に食べる価値を改めて感じたが、もう一つ健康が大事な幸福感のファクターと思っている。その中で、食も健康もパーソナライズされたものであることが重要。それぞれに志向があり、体の都合や体質などもある中で、健康を管理するのは大変だ。そこで今回のAI食のようなツールはとてもいいと思う。一方で、今まであまり便利なツールがなかったとか、かゆいところに手が届くツールがなくて面倒など、いろいろあったと思う。AI食はその解になるのではないか、というのが審査員の共通の意見。個人的にはMVPを早めに出し、フィードバックを得てすぐに変えていこうという姿勢が見て取れたのがすごく大事だと思った。今後は食の業界だけでなく、保険会社など、いろいろな連携の可能性があるのではないかと思っており、そうしたところも期待したい」(荻野氏)

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