Appleやサムスン、その他のメーカー各社は毎年のように、写真技術の向上を目指して少しずつ改良を重ねている。しかし、スマートフォンのカメラは、ハードウェアとしてはほぼ限界に達しているのだ。根本的な機能向上ではなく、若干のアップグレードしかない。これは、各社が消費者の求めるものに焦点を合わせて取り組んでいるということの表れかもしれないが、小型センサーが行き当たるスペースおよびサイズの限界を示す結果ともいえる。
スマートフォンメーカー各社が、小型センサーの限界、例えばダイナミックレンジや光感度の不足などを克服しようと、代わりに使っているのが、コンピュテーショナルフォトグラフィーだ。Google、Apple、サムスンはいずれも、機械学習のアルゴリズムと人工知能を利用して、スマートフォンで撮影した写真の出来栄えを引き上げている。
We’ve been partnering with Sony for over a decade to create the world’s leading camera sensors for iPhone. Thanks to Ken and everyone on the team for showing me around the cutting-edge facility in Kumamoto today. pic.twitter.com/462SEkUbhi
— Tim Cook (@tim_cook) December 13, 2022
それでも、やはりハードウェアは重要だ。12月半ば、Appleの最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏は、来日してソニーを訪問し、その時の写真をTwitterに投稿した。AppleがiPhoneにソニー製のイメージセンサーを使っていることは公然の秘密だったが、同氏は初めて公式にそれを認めたことになる。読者の皆さんもおそらく既にご存じのとおり、「Xperia 1 IV」をはじめとするソニーのスマートフォンは、現在販売されている中でも最高水準のカメラを搭載している。
Xperia 1 IVは、その望遠カメラが評価されて米CNETのイノベーション賞を受賞している。小型のレンズ素子が、本物の望遠レンズのように実際に前後に動くのだ。レンズを使ったズームが実現し、クロップ処理が不要になるため、画質の低下を招かずに済む。「iPhone 15 Pro」にこんなレンズが付いたところを、想像できるだろうか。
ここで登場するのが、シャオミだ。プロ級のカメラをスマートフォンに融合しようと、最新の試みに挑んでいる。11月、同社は「Xiaomi 12S Ultra」にLeicaレンズをマウントしたスマートフォンカメラのコンセプトモデルを紹介する動画を発表した。もちろん、これはコンセプトカーと同じで、どんなにかっこよくても、実際に製品化されることはない。
このコンセプトモデルは、Xiaomi 12S Ultraをベースにして、円形のカメラバンプに取り外し式のリングを追加したものだ。リングで覆われるカメラバンプの外周にねじが切ってあり、そこにアダプターを取り付けてLeica Mレンズをマウントできる。このアダプターの厚さが、焦点を合わせるためにイメージセンサーとLeica Mレンズとの間で必要な距離に等しくなっているのである。
ただし、いくつか注意点がある。Xiaomi 12S Ultraコンセプトモデルは、むき出しの1インチイメージセンサーを搭載しているが、これは前述したとおり厳密には1インチではない。また、あくまでもコンセプトモデルにすぎない。これと同じような製品が実際に販売されるとしたら、価格は数千ドルになるだろう。ちょっとした専用カメラ、例えば「FUJIFILM X100V」などは、センサーがこれよりもはるかに大きいが、1399ドル(約18万950円)という価格だ。
この試みは、シャオミが初めてではない。2013年に、ソニーはイメージセンサーをレンズの後ろに搭載し、グリップを使ってスマートフォンの背面に取り付けるレンズスタイルを発表している。スマートフォンの画面をカメラシステムのビューファインダー代わりに利用するという発想で、カメラシステムをアプリで操作できる。原理としては、スマートフォンのカメラを使わない形だ。
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