こうした日本政府の宇宙産業への取り組みが積極化していくにつれ、宇宙関連予算も徐々に増大しており、2022年度当初予算と2021年度補正予算の合計は前年比16%増の5219億円という規模に達している。伊達木氏は「政府の施策のなかで(宇宙産業の存在感が)どんどん大きくなっている」状況にあると語る。
そのなかでJAXAは「政府全体の宇宙開発利用を技術で支える中核的実施機関」として宇宙に関わる技術開発を推進することにより、これまでに他分野の科学技術、国際協力、産業振興、災害監視といった分野に貢献してきた、と伊達木氏。内閣府や各省庁の支援策と連動する形で、宇宙産業人材の確保・育成のほか、「宇宙イノベーションパートナーシップ(JAXA Space Innovation through Partnership and Co-creation :J-SPARC)」の推進など、宇宙ベンチャーの成長に応じた取り組みを拡大させ、事業化の促進も図っている。
JAXAの中長期の目標は、先述の「宇宙基本計画」のなかで挙げられた4つのテーマ「宇宙安全保障の確保」「災害対策・国土強靱化や地球規模課題の解決への貢献」「宇宙科学・探査による新たな知の創造」「宇宙を推進力とする経済成長とイノベーションの実現」に沿ったものとなっている。
そこで重要な活動として位置付けているのが、J-SPARCという民間事業者との共創研究開発プログラムだ。通常のプロジェクトはニーズ調査の後、JAXAの予算で開発、実証し、その後民間事業者に事業運営を移管していくという流れ。
しかし、J-SPARCでは、最初の企画段階から民間事業者とJAXAとの間でアジャイル的にコンセプト検証し、両者が協力して開発、実証した後、民間事業者に事業運営を任せる、という形にしている。
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