加えて、2021年4月からは法律改正でJAXAが民間事業者に出資することも可能になったことから、金銭面での直接的な支援施策も始まっている。シードもしくはアーリー段階のスタートアップを対象としたもので、支援することによって宇宙産業の発展につながる技術の社会実装、あるいは企業の持続的成長を促す事業創出を目指すとしており、今後の募集拡大を検討している。
さらに、最近ではウクライナを支援した米Space Exploration Technologies(SpaceX)の衛星インターネットサービス「Starlink」で知られるようになった小型衛星だが、それよりもさらに小さな超小型衛星の日本での打ち上げと活用拡大を狙い、「産官学による輸送・超小型衛星ミッション拡充プログラム」という新たな取り組みも始めようとしている。その他、日本全国の自治体との連携、海外への支援なども行っているとし、JAXAとしての活動の幅広さを強く印象付けた。
宇宙という未知ばかりの領域だけに、JAXAの活動内容を具体的にイメージできず、個人には無関係な組織と感じていた人も多いかもしれない。しかし、既存の宇宙機器産業だけでなく、宇宙とは関係ない異業種企業との連携、スタートアップの支援、地方創生に向けた自治体との協力など、個人の日常生活に近い分野にさまざまな側面から関わり、経済成長や社会課題解決への貢献に尽力していることが伊達木氏の話から見えてくる。
JAXAの目的を「宇宙を推進力とする経済成長イノベーションの実現」だとする同氏は最後に「宇宙と何かの組み合わせで、世界を変えていける、課題を解決していける、ということを期待しながら活動している」と述べるとともに、「経済成長につなげ、イノベーションを生む。そのために共創しよう」と訴え、JAXAとの共創に関心のある企業や組織に向けて気軽に相談してもらえるよう呼びかけた。
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